化学 / 電気化学

頻出解法パターン

パターン1: 電極反応式の作り方

こんな問題で使う

電池や電気分解で、ある電極において何が起こるかを、イオン反応式で書かせる問題。

解法の手順

  1. その電極で酸化が起こるのか、還元が起こるのかを判断する(電池なら正極=還元・負極=酸化、電気分解なら陽極=酸化・陰極=還元)。
  2. 反応にかかわる物質を、酸化数の変化がわかる形で書く。
  3. 反応前後で電荷のつり合いがとれるように、電子 $e^-$ を左辺・右辺のどちらかに追加する。
  4. 原子の数(特にHとO)がつり合っていない場合は、水溶液中の $\ce{H+}$、$\ce{OH-}$、$\ce{H2O}$ を使って調整する。

具体例

不活性電極で水が酸化されて酸素が発生する反応をつくる場合、まず $\ce{H2O -> O2}$ の形からOの数をそろえて $\ce{2H2O -> O2}$ とし、Hの数をそろえるために右辺に $\ce{4H+}$ を加えて $\ce{2H2O -> O2 + 4H+}$ とし、最後に電荷をそろえるために右辺に電子4個を加えて $\ce{2H2O -> O2 + 4H+ + 4e-}$ が得られる。

パターン2: ファラデーの法則を使った計算の手順

こんな問題で使う

電気分解や電池の放電で、流れた電流・時間から、析出・発生する物質の量(質量・体積)を求める問題、またはその逆に、物質の量から電流・時間を求める問題。

解法の手順

  1. $Q=It$ で、流れた電気量を求める(逆算のときはこの式を最後に使う)。
  2. $n_e=\dfrac{Q}{F}$ で、流れた電子の物質量を求める。
  3. 対象の電極反応式を確認し、物質1molあたりに必要な電子の数 $z$ を求める。
  4. $n=\dfrac{n_e}{z}$ で、目的の物質の物質量を求める。
  5. 物質量に、モル質量(質量を求めるとき)や気体のモル体積 $22.4\ \mathrm{L/mol}$(体積を求めるとき)をかけて、最終的な答えに変換する。

具体例

$2.00\ \mathrm{A}$ の電流を $965\ \mathrm{s}$ 間流したとき、$Q=2.00\times965=1930\ \mathrm{C}$、$n_e=1930/96500=0.0200\ \mathrm{mol}$。$\ce{Cu^2+ +2e- -> Cu}$($z=2$)なら $n(\ce{Cu})=0.0200/2=0.0100\ \mathrm{mol}$、質量は $0.0100\times64=0.640\ \mathrm{g}$ となる。

パターン3: 電気分解でどの反応が起こるかを判定する手順

こんな問題で使う

電極と電解質水溶液の組み合わせを与えられて、陽極・陰極でそれぞれどんな反応が起こるかを答えさせる問題。

解法の手順

  1. まず陰極を判定する:水溶液中の陽イオンのイオン化傾向を確認する。水素より小さければ金属が析出、水素より大きければ水が還元されて $\ce{H2}$ が発生する。
  2. 次に陽極を判定する:電極の材質を確認する。銅・銀などの活性電極なら、電極自身が酸化されて溶ける。
  3. 電極が白金・炭素などの不活性電極であれば、水溶液中の陰イオンを確認する。ハロゲン化物イオン($\ce{Cl-}$ など)があればそれが酸化され、なければ水が酸化されて $\ce{O2}$ が発生する。

具体例

$\ce{NaCl}$ 水溶液を白金電極で電気分解する場合、陰極は $\ce{Na+}$(水素よりイオン化傾向大)なので $\ce{H2}$ が発生し、陽極は不活性電極かつ $\ce{Cl-}$(ハロゲン化物イオン)があるので $\ce{Cl2}$ が発生する。

パターン4: 直列回路の電気分解槽の量的関係

こんな問題で使う

複数の電気分解槽を直列につないだときに、一方の槽での析出量から、もう一方の槽での析出量を求める問題。

解法の手順

  1. 直列につながれた回路では、流れる電気量(電子の物質量)がすべての槽で共通であることを確認する。
  2. 一方の槽の析出量(質量)から、その物質の電極反応式の $z$ を使って、電子の物質量を逆算する。
  3. その電子の物質量を、もう一方の槽の電極反応式の $z$ にあてはめて、目的の物質量を求める。
  4. 必要であれば、物質量を質量や体積に変換する。

具体例

$\ce{Ag}$($z=1$)が $10.8\ \mathrm{g}$($=0.100\ \mathrm{mol}$)析出した槽と直列につながれた $\ce{Cu}$($z=2$)の槽では、電子の物質量は共通の $0.100\ \mathrm{mol}$ なので、$\ce{Cu}$ の析出量は $0.100/2=0.0500\ \mathrm{mol}$、すなわち $3.2\ \mathrm{g}$ になる。

パターン5: 電池の全体反応式の作り方

こんな問題で使う

電池の負極・正極それぞれの半反応式から、電池全体の反応式(イオン反応式)を組み立てる問題。

解法の手順

  1. 負極(酸化)の半反応式と、正極(還元)の半反応式を、それぞれ書き出す。
  2. 2つの式に含まれる電子 $e^-$ の数を比較し、係数をかけて電子の数をそろえる。
  3. 電子の数をそろえた2つの式を、そのまま両辺どうし足し合わせる。
  4. 電子が両辺で打ち消し合って消えることを確認し、必要であれば同じ物質を整理する。

具体例

水素-酸素燃料電池では、負極 $\ce{2H2 -> 4H+ + 4e-}$(電子4個)と正極 $\ce{O2+4H++4e- -> 2H2O}$(電子4個)は、すでに電子の数がそろっているので、そのまま足し合わせて $\ce{2H2+O2 -> 2H2O}$(左辺・右辺に共通する $\ce{4H+}$、$\ce{4e-}$ は消去)が得られる。