化学 / 反応速度と化学平衡

頻出解法パターン

パターン1: 反応速度を化学反応式の係数で統一する

こんな問題で使う

複数の物質が関わる反応で、ある物質の濃度変化から、別の物質の反応速度や生成速度を求める問題。

解法の手順

  1. 注目している物質の濃度変化の速さ($-\Delta[\mathrm{X}]/\Delta t$ など)を計算する。
  2. その物質の化学反応式の係数で割り、統一された反応速度 $v$ を求める。
  3. 求めたい別の物質の係数を $v$ にかけて、その物質の変化速度を求める。

具体例

$\ce{2N2O5 -> 4NO2 + O2}$ で $\ce{N2O5}$ が $2.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol/(L\cdot s)}$ の速さで減少しているとき、係数2で割って $v=1.0\times10^{-3}$、$\ce{O2}$(係数1)の生成速度は $v$ と同じ $1.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol/(L\cdot s)}$ になる。

パターン2: 初期速度法で反応次数を決定する

こんな問題で使う

複数の実験データ(濃度の組み合わせと、そのときの速度)から、速度式 $v=k[\mathrm{A}]^m[\mathrm{B}]^n$ の指数を求める問題。

解法の手順

  1. 一方の濃度だけが変化し、もう一方が一定である2つの実験データを選ぶ。
  2. 濃度が何倍になったかと、速度が何倍になったかを比較し、「(倍率)$^{\text{指数}}$=速度の倍率」の関係から指数を求める。
  3. すべての指数が決まったら、いずれかの実験データを代入して速度定数 $k$ を求める。

具体例

$[\mathrm{A}]$ を2倍にしたら速度が4倍になった場合、$2^m=4$ より $m=2$ と決定する。

パターン3: アレニウスの式の対数をとって活性化エネルギーを求める

こんな問題で使う

2つの温度における速度定数(または反応速度)の値から、活性化エネルギー $E_a$ を求める問題。逆に、$E_a$ から速度定数の変化倍率を求める問題。

解法の手順

  1. $\ln\dfrac{k_2}{k_1}=\dfrac{E_a}{R}\left(\dfrac{1}{T_1}-\dfrac{1}{T_2}\right)$ の式を用意する。
  2. $\dfrac{k_2}{k_1}$(または $\ln$ の値)と $\dfrac{1}{T_1}-\dfrac{1}{T_2}$ を計算する。
  3. 求めたい量($E_a$ か $k_2/k_1$)について式を解く。対数の値は、$\ln2$、$\ln10$ などの値が問題文で与えられるので、それを使って計算する。

具体例

$300\ \mathrm{K}$ で $k_1$、$310\ \mathrm{K}$ で $k_2$ のとき、$\ln(k_2/k_1)=\dfrac{E_a}{R}\left(\dfrac{1}{300}-\dfrac{1}{310}\right)$ に数値を代入して $E_a$(または $k_2/k_1$)を求める。

パターン4: 平衡定数の問題は「初期・変化量・平衡時」の表(ICE表)で整理する

こんな問題で使う

初期濃度(または物質量)と、平衡時のいずれかの値から、平衡定数 $K$ や、他の物質の平衡濃度を求める問題。

解法の手順

  1. 反応した量を未知数 $x$ とおく。
  2. 「初期」「変化量」「平衡時」の3行の表を、化学反応式の係数の比に従って書く。
  3. 与えられた条件(平衡時のある濃度など)から $x$ を求める。
  4. すべての平衡濃度を求めたら、質量作用の法則の式に代入して $K$ を計算する(または、$K$ が既知なら方程式を解いて $x$ を求める)。

具体例

$1.0\ \mathrm{mol}$ ずつの $\ce{H2}$、$\ce{I2}$ を $1.0\ \mathrm{L}$ に入れ、平衡時に $\ce{HI}$ が $1.6\ \mathrm{mol}$ 生成した場合、変化量 $x=0.80$ として $[\ce{H2}]=[\ce{I2}]=0.20\ \mathrm{mol/L}$ を求め、$K=\dfrac{(1.6)^2}{0.20\times0.20}=64$ を計算する。

パターン5: 係数が対称な平衡では平方根をとって簡単に解く

こんな問題で使う

反応物どうし、あるいは生成物どうしの係数が等しく、平衡定数の式の両辺が完全平方の形になる問題。

解法の手順

  1. ICE表を作り、平衡定数の式を立てる。
  2. 式の両辺が $(\ )^2$ の形になっていることを確認する。
  3. 両辺の正の平方根をとり、1次方程式に変換してから解く。

具体例

$\dfrac{(2x)^2}{(1.0-x)^2}=64$ のとき、両辺の平方根をとって $\dfrac{2x}{1.0-x}=8$ とすれば、2次方程式を解かずに $x$ を求められる。

パターン6: 電離平衡・加水分解・緩衝液は「[H+]=√(定数×濃度)」型の式に帰着させる

こんな問題で使う

弱酸・弱塩基の電離平衡、塩の加水分解、緩衝液のpHを求める問題。

解法の手順

  1. 平衡の種類に応じて、使う定数を確認する(弱酸の電離:$K_a$、弱塩基の電離:$K_b$、弱酸の塩の加水分解:$K_h=K_w/K_a$、弱塩基の塩の加水分解:$K_h=K_w/K_b$)。
  2. 電離度が小さいとみなせる場合は、$\ce{[H+]}$(または$\ce{[OH-]}$)$=\sqrt{(\text{定数})\times c}$ の形の式に数値を代入する。緩衝液の場合は $\ce{[H+]}=K_a\times\dfrac{c_{\mathrm{HA}}}{c_{\mathrm{A^-}}}$ を使う(こちらは平方根をとらない形)。
  3. 得られた $\ce{[H+]}$(または$\ce{[OH-]}$)から $-\log$ をとってpH(またはpOH)を求める。
  4. pOHを求めた場合は、$\mathrm{pH}=14-\mathrm{pOH}$(常温)で変換する。

具体例

$0.20\ \mathrm{mol/L}$ の $\ce{NH4Cl}$ 水溶液($K_b=2.0\times10^{-5}$、$K_w=1.0\times10^{-14}$)は、$K_h=K_w/K_b=5.0\times10^{-10}$、$\ce{[H+]}=\sqrt{5.0\times10^{-10}\times0.20}=1.0\times10^{-5}$、$\mathrm{pH}=5.00$ と求める。

パターン7: 沈殿生成の判定はまず希釈後の濃度を計算してからQとKspを比較する

こんな問題で使う

2つの水溶液を混合したときに、難溶性塩の沈殿が生じるかどうかを判定する問題。

解法の手順

  1. 混合によって体積が変化することを考え、混合後の各イオンの濃度(希釈後の濃度)をまず計算する。
  2. その濃度からイオン積(平衡定数と同じ形の式)を計算する。
  3. イオン積を溶解度積 $K_{sp}$ と比較し、イオン積が大きければ沈殿が生じる、小さければ生じないと判定する。
  4. 沈殿量や残存濃度まで問われた場合は、パターン4・5と同様にICE表を作って解く。

具体例

$1.0\times10^{-4}\ \mathrm{mol/L}$ の $\ce{AgNO3}$ 水溶液と同量の $\ce{NaCl}$ 水溶液を混合すると、混合後の濃度はどちらも半分の $5.0\times10^{-5}\ \mathrm{mol/L}$ になる。イオン積 $(5.0\times10^{-5})^2=2.5\times10^{-9}$ を $K_{sp}=1.0\times10^{-10}$ と比較し、沈殿が生じるかどうかを判定する。