化学 / 熱化学

頻出解法パターン

パターン1: 熱化学反応式の書き方の手順

こんな問題で使う

「〇〇が反応して△△の熱が発生(吸収)する」という日本語の記述を、状態を明記した熱化学反応式(ΔH付き)に書き換える問題。

解法の手順

  1. 反応物・生成物を、ふつうの化学反応式のように係数をつけて書く。
  2. すべての物質に、状態 $(s)$、$(l)$、$(g)$、$(aq)$ を書き加える。
  3. 発熱反応なら $\Delta H$ を負の値、吸熱反応なら正の値にする。
  4. 反応式の右側に $\Delta H=\bigcirc\bigcirc\ \mathrm{kJ}$ の形で書き加える。

具体例

「黒鉛1molが完全燃焼し、気体の二酸化炭素になるとき394 kJ発生する」という記述は、$\ce{C(s) + O2(g) -> CO2(g)}$、$\Delta H=-394\ \mathrm{kJ}$ という熱化学反応式になる。

パターン2: ヘスの法則で複数の熱化学反応式を組み合わせる手順

こんな問題で使う

いくつかの熱化学反応式(ΔHつき)が与えられ、それらを組み合わせて、直接は与えられていない反応のΔHを求める問題。

解法の手順

  1. 目的の反応式を、まず自分で書き出す。
  2. 与えられた各反応式に、何倍かの係数をかけたり、足したり引いたりして、目的の反応式が作れないか試す(反応物・生成物として登場するがどちらの式にもある「余計な物質」が消去できるかを目安にする)。
  3. 反応式に対して行った操作(定数倍・足し算・引き算)と、まったく同じ操作を $\Delta H$ の数値にも適用する。
  4. 反応式を逆向きに使った部分があれば、その $\Delta H$ の符号を反転させることを忘れない。

具体例

$\ce{C(s)+O2(g)->CO2(g)}$($\Delta H_1=-394\ \mathrm{kJ}$)と $\ce{C(s)+1/2O2(g)->CO(g)}$($\Delta H_2=-111\ \mathrm{kJ}$)から、$\ce{CO(g)+1/2O2(g)->CO2(g)}$ のΔHを求めるには、1つ目から2つ目を引けばよく、$\Delta H=\Delta H_1-\Delta H_2=-283\ \mathrm{kJ}$ となる。

パターン3: 生成エンタルピーの表から反応エンタルピーを計算する手順

こんな問題で使う

反応物・生成物それぞれの生成エンタルピーの値が与えられ、それらから目的の反応(多くは燃焼反応)のΔHを求める問題。

解法の手順

  1. 反応式に登場するすべての物質(単体・化合物)の生成エンタルピーを確認する。単体の生成エンタルピーは $0$ とする。
  2. 生成物側の生成エンタルピーに、それぞれの係数をかけて合計する。
  3. 反応物側の生成エンタルピーに、それぞれの係数をかけて合計する。
  4. $\Delta H=\Sigma\Delta H_f(\text{生成物})-\Sigma\Delta H_f(\text{反応物})$ に代入する。

具体例

$\ce{CO2(g)}$、$\ce{H2O(l)}$、$\ce{C3H8(g)}$ の生成エンタルピーがそれぞれ $-394$、$-286$、$-105\ \mathrm{kJ/mol}$ のとき、$\ce{C3H8+5O2->3CO2+4H2O}$ のΔHは、$[3\times(-394)+4\times(-286)]-[-105]=-2221\ \mathrm{kJ}$ となる。

パターン4: 結合エネルギーから反応エンタルピーを計算する手順

こんな問題で使う

反応物・生成物がすべて気体分子で、結合エネルギーの値が与えられ、そこから反応のΔHを求める問題。

解法の手順

  1. 反応物・生成物のすべての分子について、構造式を思い浮かべ、含まれる結合の種類と、1分子あたりの本数を確認する。
  2. 反応式の係数をかけて、反応物側で切る結合の総数、生成物側で作る結合の総数を、それぞれ結合の種類ごとに数える。
  3. 反応物側の結合エネルギーの合計(切る=吸熱)を計算する。
  4. 生成物側の結合エネルギーの合計(作る=発熱)を計算する。
  5. $\Delta H=(\text{反応物側の合計})-(\text{生成物側の合計})$ で求める。

具体例

$\ce{N2+3H2->2NH3}$ で、$\ce{N#N}$:945、$\ce{H-H}$:436、$\ce{N-H}$:391 kJ/molのとき、反応物側は $945+3\times436=2253$、生成物側は $\ce{N-H}$ が $3\times2=6$本で $6\times391=2346$、$\Delta H=2253-2346=-93\ \mathrm{kJ}$ となる。

パターン5: 熱量計算とモル計算を組み合わせて反応エンタルピーを求める手順

こんな問題で使う

水などに反応物を入れた実験で測定した温度変化から、比熱の式を使って熱量を求め、そこから1molあたりの反応エンタルピーを逆算する問題。

解法の手順

  1. $Q=mc\Delta T$ に、熱を受け取った(または失った)物質の質量 $m$、比熱 $c$、温度変化 $\Delta T$ を代入し、熱量 $Q$ を求める。
  2. 反応した物質(溶かした固体や、反応させた薬品)の物質量 $n$ を、質量とモル質量から求める。
  3. $\dfrac{Q}{n}$ を計算して、1molあたりの熱量に換算する。
  4. 発熱反応であれば $\Delta H$ をマイナスの値、吸熱反応であればプラスの値として答える。

具体例

水50gに固体のNaOH(モル質量40 g/mol)2.0gを溶かして水温が7.0K上昇したとき、$Q=50\times4.2\times7.0=1470\ \mathrm{J}$、$n=2.0/40=0.050\ \mathrm{mol}$ なので、$\Delta H=-1470/0.050=-29400\ \mathrm{J/mol}=-29.4\ \mathrm{kJ/mol}$ となる(発熱なのでマイナス)。