無機化学 / 無機物質の分析
頻出解法パターン
パターン1: 気体の捕集法を2段階の質問で判定する
こんな問題で使う
初めて見る気体でも、性質(水への溶けやすさ、密度)から捕集法を答えさせる問題。
解法の手順
- その気体は水に溶けやすいかを確認する。溶けにくい(またはほとんど溶けない)なら、密度に関係なく水上置換と判定して終了。
- 水に溶けやすい場合だけ、次に空気より軽いか重いかを確認する。
- 軽ければ上方置換、重ければ下方置換と判定する。
- 判定に迷ったら、「上方置換になる気体は実質NH3だけ」と覚えておき、NH3以外の「よく溶ける・重い」気体は下方置換と考える。
具体例
「Xという気体は水に非常によく溶け、空気より軽い」と説明されたら、まず水に溶けやすいので水上置換は使えないと判断し、次に空気より軽いので上方置換と判定する。
パターン2: 乾燥剤を選ぶときは「酸・塩基」と「酸化還元」の両方を確認する
こんな問題で使う
ある気体を乾燥させるのに適した乾燥剤、または使えない乾燥剤とその理由を答えさせる問題。
解法の手順
- 乾燥させたい気体が酸性・塩基性・中性のどれかを確認する。
- 乾燥剤も酸性・塩基性・中性のどれかを確認し、気体と反対の性質(酸性⇔塩基性)を持つ乾燥剤は中和反応を起こすため使えないと判定する。
- 気体が還元性の強い物質(H2Sなど)でないかを確認する。還元性が強い気体には、酸化力を持つ濃硫酸は使えない。
- 塩化カルシウムを候補にする場合は、NH3との付加化合物生成という例外がないか必ず確認する。
具体例
SO2(酸性の気体)を乾燥させたい場合、ソーダ石灰(塩基性)は中和してしまうため使えないが、濃硫酸(酸性)や塩化カルシウム(中性)は使える、と判断する。
パターン3: 沈殿するかどうかを「イオンの組み合わせ」と「液性」の両方から判定する
こんな問題で使う
金属イオンの混合水溶液に試薬を加えたとき、どのイオンが沈殿し、どのイオンが残るかを答えさせる問題。
解法の手順
- 加える試薬(HCl、H2S、NH3、(NH4)2CO3など)を確認する。
- その試薬と反応して沈殿をつくる金属イオンの組み合わせを思い出す(HClならAg+・Pb2+、酸性のH2SならCu2+など)。
- H2Sの場合は、酸性か中性・塩基性かで沈殿する金属イオンが変わることに特に注意する。
- NH3の場合は、そのまま水酸化物として沈殿するイオン(Fe3+、Al3+)と、錯イオンをつくって溶けたままになるイオン(Cu2+、Zn2+、Ag+)を区別する。
具体例
Fe3+とZn2+の混合水溶液に過剰のアンモニア水を加えると、Fe3+はFe(OH)3として沈殿し、Zn2+は[Zn(NH3)4]2+となって溶けたまま残る、と判定する。
パターン4: 白色沈殿の正体を「酸を加えたときの変化」で見分ける
こんな問題で使う
色だけでは区別のつかない白色沈殿(AgCl、BaSO4、CaCO3など)の正体を特定させる問題。
解法の手順
- その沈殿に希塩酸(または希硝酸)を加えたときにどうなるかを確認する(問題文やヒントから読み取る)。
- 「変化しない」なら、AgClまたはBaSO4のような非常に安定な沈殿と判断する。
- 「気体を発生しながら溶ける」なら、炭酸塩(CaCO3、BaCO3など)と判断する。
- 発生した気体をさらに石灰水に通じて白濁すれば、その気体がCO2であることを確認し、炭酸塩であったという結論を裏づける。
具体例
「白色沈殿に希塩酸を加えると気体が発生し、その気体を石灰水に通じると白く濁った」と言われたら、沈殿は炭酸塩(CaCO3など)で、発生した気体はCO2であると判定する。
パターン5: 「強酸が弱酸を追い出す」パターンで気体発生反応式を組み立てる
こんな問題で使う
炭酸塩・亜硫酸塩・硫化物などの弱酸の塩に強酸を加えて気体を発生させる反応式を書かせる問題。
解法の手順
- もとの塩が、どの弱酸からできた塩かを確認する(炭酸塩なら炭酸H2CO3、亜硫酸塩なら亜硫酸H2SO3など)。
- 加える酸(多くの場合HClやH2SO4)の方が、その弱酸より強い酸であることを確認する。
- 「強酸の塩+弱酸→強酸の塩+弱酸」の形で反応式をいったん立てる。
- 生じた弱酸が不安定であれば、さらに分解して気体と水になる式を追加する(H2CO3→H2O+CO2、H2SO3→H2O+SO2など)。
具体例
亜硫酸ナトリウムに希硫酸を加える反応では、まず$\ce{Na2SO3 + H2SO4 -> Na2SO4 + H2SO3}$を考え、不安定な亜硫酸がただちに分解するため、最終的に$\ce{Na2SO3 + H2SO4 -> Na2SO4 + H2O + SO2 ^}$という反応式になる。