化学基礎 / 物質量と化学反応式
溶液の濃度(質量パーセント・モル濃度)
要点整理
物質を溶媒に溶かした均一な液体を溶液といい、溶けている物質を溶質、溶かしている液体を溶媒と呼びます(水を溶媒とする溶液を特に水溶液といいます)。溶液の濃さを数値で表す方法には、いくつかの種類があります。
質量パーセント濃度
質量パーセント濃度は、溶液全体の質量に対して、溶質の質量が何%を占めるかで濃度を表したものです。
$\text{質量パーセント濃度}(\%) = \frac{\text{溶質の質量}}{\text{溶液の質量}}\times100$
ここで「溶液の質量」は、「溶質の質量+溶媒の質量」であることに注意しましょう。たとえば、水90gに食塩10gを溶かした食塩水の質量パーセント濃度は、溶液全体の質量が $90+10=100\,\mathrm{g}$ なので、
$\frac{10}{100}\times100 = 10\,\%$
モル濃度
化学反応の量的関係を扱うときには、溶質の「質量」よりも「物質量(mol)」で濃度を表す方が便利です。溶液1Lあたりに溶けている溶質の物質量で濃度を表したものをモル濃度といい、単位には $\mathrm{mol/L}$ を使います。
溶質の物質量を $n\,[\mathrm{mol}]$、溶液の体積を $V\,[\mathrm{L}]$ とすると、モル濃度 $c\,[\mathrm{mol/L}]$ は次の式で求められます。
$c = \frac{n}{V}$
モル濃度の溶液をつくるときは、「溶質を溶かしたあとの溶液全体の体積」が基準になる点に注意が必要です。たとえば「$1.0\,\mathrm{mol/L}$ の水酸化ナトリウム水溶液を$500\,\mathrm{mL}$ つくる」という場合、水酸化ナトリウムを水に溶かし、そのあと水を追加していって、溶液全体の体積がちょうど $500\,\mathrm{mL}$ になるように調整します(溶媒の体積だけを$500\,\mathrm{mL}$にするのではありません)。
質量パーセント濃度とモル濃度の変換
質量パーセント濃度とモル濃度は、どちらも同じ溶液の濃さを表す量なので、溶液の密度(単位体積あたりの質量)がわかれば、たがいに変換することができます。
質量パーセント濃度 $p\,(\%)$、密度 $d\,[\mathrm{g/mL}]$、溶質のモル質量 $M\,[\mathrm{g/mol}]$ の溶液について、モル濃度 $c$ を求める考え方は、次のようになります。
- 溶液を $1\,\mathrm{L}=1000\,\mathrm{mL}$ だけ取り出すと考える。
- この溶液の質量は、密度を使って $1000\times d\,[\mathrm{g}]$ と表せる。
- この中に含まれる溶質の質量は、質量パーセント濃度を使って $1000d\times\dfrac{p}{100}\,[\mathrm{g}]$ と表せる。
- 溶質の質量をモル質量で割ると、溶質の物質量になる:$\dfrac{1000d\times\frac{p}{100}}{M}\,[\mathrm{mol}]$。
- これが溶液 $1\,\mathrm{L}$ あたりの物質量なので、そのままモル濃度 $c\,[\mathrm{mol/L}]$ になる。
この考え方をひとつの式にまとめると、次のようになります。
$c = \frac{1000\,d\,p}{100\,M} = \frac{10\,d\,p}{M}$
この式を丸暗記するのではなく、「溶液1Lを基準に考え、密度から質量を求め、質量パーセント濃度から溶質の質量を求め、モル質量で割って物質量にする」という手順そのものを理解しておくことが大切です。
例題
例題1(基本)
問題
水80gに水酸化ナトリウム20gを溶かした水溶液がある。この水溶液の質量パーセント濃度を求めよ。
解答・解説を見る
溶液全体の質量は、水(溶媒)の質量と水酸化ナトリウム(溶質)の質量の合計です。
$80+20 = 100\,\mathrm{g}$
質量パーセント濃度の式に、溶質の質量20g、溶液の質量100gを代入します。
$\frac{20}{100}\times100 = 20\,\%$
答え:20%
例題2(標準)
問題
水酸化ナトリウム(式量40)$4.0\,\mathrm{g}$ を水に溶かし、溶液全体の体積が $250\,\mathrm{mL}$ になるようにした。この水溶液のモル濃度を求めよ。
解答・解説を見る
まず、水酸化ナトリウムの物質量を求めます。$n=\dfrac{w}{M}$ に $w=4.0$、$M=40$ を代入します。
$n = \frac{4.0}{40} = 0.10\,\mathrm{mol}$
次に、溶液の体積をLの単位に直します。
$250\,\mathrm{mL} = 0.250\,\mathrm{L}$
モル濃度の式 $c=\dfrac{n}{V}$ に代入します。
$c = \frac{0.10}{0.250} = 0.40\,\mathrm{mol/L}$
答え:0.40 mol/L
例題3(応用)
問題
質量パーセント濃度 $49\,\%$、密度 $1.20\,\mathrm{g/mL}$ の硫酸水溶液がある。硫酸 $\ce{H2SO4}$ の分子量を98として、このモル濃度を求めよ。
解答・解説を見る
この溶液 $1\,\mathrm{L}=1000\,\mathrm{mL}$ を取り出して考えます。
溶液の質量
密度 $1.20\,\mathrm{g/mL}$ を使うと、溶液 $1000\,\mathrm{mL}$ の質量は、
$1000\times1.20 = 1200\,\mathrm{g}$
溶質(硫酸)の質量
質量パーセント濃度 $49\,\%$ より、溶質の質量は溶液の質量の49%です。
$1200\times\frac{49}{100} = 588\,\mathrm{g}$
硫酸の物質量
モル質量 $98\,\mathrm{g/mol}$ で割ります。
$n = \frac{588}{98} = 6.0\,\mathrm{mol}$
モル濃度
これは溶液 $1\,\mathrm{L}$ あたりに溶けている硫酸の物質量なので、そのままモル濃度になります。
答え:6.0 mol/L
練習問題
問題
塩化ナトリウム(式量58.5)$11.7\,\mathrm{g}$ を水に溶かして、溶液全体を $200\,\mathrm{mL}$ にした。この水溶液のモル濃度を求めよ。
答え
$n=\dfrac{11.7}{58.5}=0.200\,\mathrm{mol}$、$c=\dfrac{0.200}{0.200}=1.00\,\mathrm{mol/L}$