化学基礎 / 酸と塩基
頻出解法パターン
パターン1: 強酸・強塩基のpH計算
こんな問題で使う
強酸(塩酸、硫酸など)や強塩基(水酸化ナトリウムなど)の濃度が与えられ、そのpHを求める問題。
解法の手順
- 与えられた物質が何価の酸(塩基)かを確認する。
- 完全に電離するものとして、$[\ce{H+}]=nc$(酸)または $[\ce{OH-}]=nc$(塩基)を計算する。
- 酸の場合はそのまま $\mathrm{pH}=-\log_{10}[\ce{H+}]$ を計算する。塩基の場合は $\mathrm{pOH}=-\log_{10}[\ce{OH-}]$ を求めてから $\mathrm{pH}=14-\mathrm{pOH}$ とする。
- $\log_{10}2$、$\log_{10}3$ などの値が与えられていたら、$\log_{10}5=1-\log_{10}2$ のような変形を使って計算する。
具体例
$0.010\ \mathrm{mol/L}$ の塩酸なら、$[\ce{H+}]=1.0\times10^{-2}$ なので $\mathrm{pH}=2$ となる。
パターン2: 中和の量的関係を使う
こんな問題で使う
酸と塩基の物質量(または濃度・体積)の一部が与えられ、過不足なく中和するために必要な残りの量を求める問題。
解法の手順
- 酸・塩基それぞれの価数を確認する。
- $n_{酸}\times a = n_{塩基}\times b$(物質量で与えられている場合)、または $c_1V_1a=c_2V_2b$(濃度・体積で与えられている場合)を書く。
- 与えられた値を代入し、求めたい量について解く。
- 酸・塩基が強酸・強塩基か弱酸・弱塩基かにかかわらず、同じ式が使えることを確認する。
具体例
$0.20\ \mathrm{mol}$ の塩酸(1価)と過不足なく中和する水酸化カルシウム(2価)は、$0.20\times1=n\times2$ より $n=0.10\ \mathrm{mol}$ となる。
パターン3: 中和滴定の計算
こんな問題で使う
中和滴定の実験データ(標準溶液の濃度・体積、試料の体積)が与えられ、試料の濃度を求める問題。
解法の手順
- 酸・塩基それぞれの価数を確認する。
- $c_1V_1a=c_2V_2b$ に、わかっている値をすべて代入する。
- 求めたい濃度(または体積)について式を解く。
- 単位(mLかLか)がそろっているかを確認する(比の形の式なら、両辺で単位がそろっていればmLのまま計算してもよい)。
具体例
濃度不明の酢酸10.0mLを、0.100mol/LのNaOH水溶液12.5mLで中和したとき、$c\times10.0\times1=0.100\times12.5\times1$ より $c=0.125\ \mathrm{mol/L}$ となる。
パターン4: 塩の液性判定
こんな問題で使う
与えられた塩の水溶液が、酸性・中性・塩基性のどれを示すかを判定する問題。
解法の手順
- その塩が、もともと何という酸と何という塩基から中和によってできたかを考える。
- その酸・塩基がそれぞれ強いか弱いかを確認する。
- 「強酸+強塩基→中性」「強酸+弱塩基→酸性」「弱酸+強塩基→塩基性」というルールに当てはめる。
- 塩の名前(正塩・酸性塩・塩基性塩)からは液性を判断しない。
具体例
$\ce{NH4Cl}$ は強酸(塩酸)と弱塩基(アンモニア)からできた塩なので、水溶液は酸性を示す。
パターン5: ブレンステッド・ローリーの定義での酸・塩基の判定
こんな問題で使う
与えられた反応式の中で、下線を引いた物質が酸・塩基のどちらとしてはたらいているかを答える問題。
解法の手順
- 反応の前後で、注目している物質の $\ce{H}$ の数がどう変化しているかを確認する。
- $\ce{H}$ が減っていれば、相手に $\ce{H+}$ を渡した(酸としてはたらいた)と判断する。
- $\ce{H}$ が増えていれば、相手から $\ce{H+}$ を受け取った(塩基としてはたらいた)と判断する。
- 同じ物質でも、反応の相手が変われば酸にも塩基にもなりうる(両性)ことを念頭に置く。
具体例
$\ce{HCO3- + H2O <=> CO3^2- + H3O+}$ では、$\ce{HCO3-}$ のHが1個減って $\ce{CO3^2-}$ になっているので、$\ce{HCO3-}$ は酸としてはたらいている。
パターン6: 中和滴定の指示薬選択
こんな問題で使う
中和滴定を行うときに、フェノールフタレインとメチルオレンジのどちらを使うべきか判断する問題。
解法の手順
- 中和で生成する塩が何かを考える。
- その塩の水溶液の液性(パターン4を利用)から、中和点のpHが7より大きいか小さいかを判断する。
- 中和点のpHが7より大きければ(塩基性側)フェノールフタレイン、7より小さければ(酸性側)メチルオレンジを選ぶ。
- 強酸と強塩基の滴定では、中和点付近でpHが急激に変化するため、どちらの指示薬でも判定できる。
具体例
酢酸(弱酸)を水酸化ナトリウム(強塩基)で滴定する場合、生成する $\ce{CH3COONa}$ の水溶液は塩基性なので、フェノールフタレインを使う。