化学 / 化学結合と結晶
頻出解法パターン
パターン1: 単位格子中の粒子数を、位置ごとのカウント比率で数える
こんな問題で使う
単位格子の図が与えられ、その中に含まれる原子・イオンの数を求める問題。
解法の手順
- 粒子がある位置(頂点・辺の中点・面の中心・内部)をすべて確認する。
- 各位置の粒子が、いくつの単位格子で共有されているかを考え、カウント比率(頂点 $\frac{1}{8}$、辺 $\frac{1}{4}$、面 $\frac{1}{2}$、内部 $1$)を決める。
- (その位置にある個数)×(カウント比率)を、位置ごとに計算して合計する。
具体例
面心立方格子(頂点8個、面の中心6個)の場合、原子数は $8\times\frac{1}{8}+6\times\frac{1}{2}=1+3=4$ 個と求められる。
パターン2: 原子半径 r と単位格子の一辺 a の関係を、接している方向の対角線から導く
こんな問題で使う
結晶構造(体心立方格子・面心立方格子)が与えられ、原子半径と単位格子の一辺の長さの関係を求める問題。
解法の手順
- その結晶構造で、原子どうしが接している方向(体対角線か、面の対角線か)を確認する。
- 三平方の定理を使って、その対角線の長さを $a$ で表す(面の対角線は $\sqrt{2}a$、体対角線は $\sqrt{3}a$)。
- 対角線上に原子の半径・直径が何個分並んでいるかを数え、対角線の長さ $=4r$ という式を立てる。
- $r$ について解く。
具体例
体心立方格子では、体対角線($\sqrt{3}a$)の上に、頂点の原子の半径 $r$+中心の原子の直径 $2r$+反対側の頂点の原子の半径 $r$ が並ぶので、$\sqrt{3}a=4r$ より $r=\dfrac{\sqrt{3}}{4}a$ となる。
パターン3: 密度の式 ρ = nM/(N_A a³) に当てはめて計算する
こんな問題で使う
単位格子の一辺の長さ・原子量(モル質量)・アボガドロ定数が与えられ、結晶の密度を求める問題(またはその逆算)。
解法の手順
- 結晶構造から、単位格子中の原子数 $n$ を求める(体心立方格子は2、面心立方格子は4)。
- 単位格子の一辺の長さ $a$ を、必ず $\mathrm{cm}$ 単位に統一する。
- $\rho=\dfrac{nM}{N_Aa^3}$ に、$n$、$M$(モル質量)、$N_A$、$a$ を代入して計算する。
- 密度ではなく $a$ や $M$ を求めたい場合は、先に式を変形してから数値を代入する。
具体例
面心立方格子($n=4$)の銅(原子量63.5)で、$a=3.61\times10^{-8}\ \mathrm{cm}$ のとき、$\rho=\dfrac{4\times63.5}{6.02\times10^{23}\times(3.61\times10^{-8})^3}\approx8.98\ \mathrm{g/cm^3}$ となる。
パターン4: 充填率は「原子の体積の合計 ÷ 単位格子の体積」で求める
こんな問題で使う
結晶構造の充填率(原子がどれだけすき間なく詰まっているか)を求める問題。
解法の手順
- パターン1で単位格子中の原子数 $n$ を求める。
- パターン2で原子半径 $r$ を単位格子の一辺 $a$ で表す関係式を求める。
- 充填率の式 $\dfrac{n\times\frac{4}{3}\pi r^3}{a^3}\times100\%$ に、2.で求めた $r$ を代入し、$a$ を約分して消す。
- 与えられた $\sqrt{2}$、$\sqrt{3}$、$\pi$ の近似値を使って数値を計算する。
具体例
体心立方格子では $r=\dfrac{\sqrt{3}}{4}a$ を代入すると、充填率は $\dfrac{\sqrt{3}}{8}\pi\approx0.68$、すなわち約68%になる。
パターン5: 結晶の性質(融点・硬さ・電気伝導性)から、結晶の種類を逆に判定する
こんな問題で使う
物質の融点や電気伝導性などのデータが与えられ、その物質がイオン結晶・共有結合の結晶・金属結晶・分子結晶のどれかを判定する問題。
解法の手順
- 電気伝導性を確認する:固体でも通す → 金属結晶。固体では通さないが融解液・水溶液では通す → イオン結晶。固体・液体どちらでも通さない → 共有結合の結晶か分子結晶。
- 融点の高さを確認する:きわめて高い(1000℃を大きく超える)→ 共有結合の結晶。低い(数百℃以下、あるいは常温付近)→ 分子結晶。
- 硬さ・展性の有無も参考にする:たたくと薄く広がる(展性)→ 金属結晶。硬いが割れやすい → イオン結晶。非常に硬く割れにくい → 共有結合の結晶。
具体例
「固体では電気を通さないが、融解すると電気を通すようになり、融点は801℃である」という記述からは、イオンが融解によって動けるようになる性質と、比較的高い融点から、イオン結晶(NaClなど)であると判定できる。
パターン6: 分子間力の強さから沸点の順序を予測し、水素結合の有無で例外を見抜く
こんな問題で使う
同族元素の単体や、似た構造の水素化合物について、沸点の大小関係を説明する問題。
解法の手順
- 比較する物質どうしが、水素結合を形成できるか(H原子がF・O・N原子に直接結合しているか)を確認する。
- 水素結合を形成しないグループの中では、分子量が大きいほどファンデルワールス力が強く、沸点が高いと判断する。
- 水素結合を形成する物質($\ce{HF}$、$\ce{H2O}$、$\ce{NH3}$ など)は、分子量による予測から外れて、同族の他の物質より著しく沸点が高くなることを踏まえて判定する。
具体例
第16族の水素化合物 $\ce{H2S}<\ce{H2Se}<\ce{H2Te}$ は分子量の順にファンデルワールス力が強くなり沸点も高くなるが、$\ce{H2O}$ だけは水素結合を形成するため、分子量が最も小さいにもかかわらず4つの中で最も沸点が高くなる。