化学 / 化学結合と結晶
章末問題
章末問題
問題1
問題
NaCl型結晶格子について、単位格子1個に含まれる組成式 $\ce{NaCl}$ の数($Z$)と、$\ce{Cl-}$ の配位数を求めよ。
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単位格子中の $\ce{Na+}$ は辺の中点12個($\times\dfrac{1}{4}$)と中心1個より、
$12\times\frac{1}{4}+1=4\ \text{個}$
$\ce{Cl-}$ は頂点8個($\times\dfrac{1}{8}$)と面の中心6個($\times\dfrac{1}{2}$)より、
$8\times\frac{1}{8}+6\times\frac{1}{2}=4\ \text{個}$
$\ce{Na+}$、$\ce{Cl-}$ ともに4個ずつなので、組成式 $\ce{NaCl}$ が4組分($Z=4$)含まれています。また、$\ce{Cl-}$ に最も近い $\ce{Na+}$ は、上下・前後・左右の6方向にあるため、配位数は6です($\ce{Na+}$ から見た配位数も同様に6)。
答え:$Z=4$、配位数6
問題2
問題
ダイヤモンドと黒鉛は、どちらも炭素の同素体であるが、性質が大きく異なる。それぞれの配位数と、電気伝導性の有無を答えよ。
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ダイヤモンドは、1個の炭素原子が正四面体状に4個の炭素原子と共有結合しているため配位数は4であり、価電子がすべて共有結合に使われるため電気を通しません。
黒鉛は、1個の炭素原子が同一平面内で3個の炭素原子と共有結合しているため配位数は3であり、余った価電子が層全体を自由に動けるため電気をよく通します。
答え:ダイヤモンド(配位数4、電気を通さない)、黒鉛(配位数3、電気をよく通す)
問題3
問題
金属結晶の面心立方格子と体心立方格子について、配位数と充填率の大小を比較せよ。
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面心立方格子は、原子が最も密に詰まった配列(最密構造)の1つで、配位数12、充填率は約74%です。体心立方格子は、配位数8、充填率は約68%です。したがって、面心立方格子の方が配位数・充填率ともに大きくなります。
答え:配位数・充填率ともに、面心立方格子(配位数12、約74%) > 体心立方格子(配位数8、約68%)
問題4
問題
ハロゲン化水素 $\ce{HCl}$、$\ce{HBr}$、$\ce{HI}$、$\ce{HF}$ について、分子量だけから予想される沸点の順序と、実際の沸点の順序のちがいを説明せよ。
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分子量は $\ce{HF}(20) < \ce{HCl}(36.5) < \ce{HBr}(81) < \ce{HI}(128)$ の順に大きくなるので、ファンデルワールス力だけを考えれば、沸点も同じ順序($\ce{HF}$が最も低い)になるはずです。しかし実際には、$\ce{HF}$ は電気陰性度が非常に大きいF原子にH原子が直接結合しているため、分子間に強い水素結合を形成し、$\ce{HCl}$ や $\ce{HBr}$ よりも著しく高い沸点を示します。$\ce{HCl}$、$\ce{HBr}$、$\ce{HI}$ の間では、水素結合が形成されないため、分子量の順序どおりにファンデルワールス力が強くなり、沸点も $\ce{HCl}<\ce{HBr}<\ce{HI}$ の順になります。
答え:$\ce{HCl}<\ce{HBr}<\ce{HI}$ は分子量が大きいほどファンデルワールス力が強く沸点が高くなるが、$\ce{HF}$ だけは水素結合を形成するため、分子量が最小にもかかわらず4つの中で最も沸点が高くなる。
問題5
問題
銀 $\ce{Ag}$(原子量108)の結晶は面心立方格子で、単位格子の一辺の長さは $4.09\times10^{-8}\ \mathrm{cm}$ である。アボガドロ定数を $6.02\times10^{23}\ \mathrm{/mol}$ として、銀の結晶の密度を有効数字3桁で求めよ。
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面心立方格子なので $n=4$。$a^3$ を計算します。
$a^3=(4.09\times10^{-8})^3=4.09^3\times10^{-24}$
$4.09^2=16.73$、$16.73\times4.09=68.4$ なので、$a^3=68.4\times10^{-24}=6.84\times10^{-23}\ \mathrm{cm^3}$。
単位格子中の質量は、
$\frac{4\times108}{6.02\times10^{23}}=\frac{432}{6.02\times10^{23}}=71.8\times10^{-23}=7.18\times10^{-22}\ \mathrm{g}$
したがって、密度は、
$\rho=\frac{7.18\times10^{-22}}{6.84\times10^{-23}}=10.5\ \mathrm{g/cm^3}$
答え:$10.5\ \mathrm{g/cm^3}$(実際の銀の密度は約 $10.5\ \mathrm{g/cm^3}$)
問題6
問題
次のA~Dの4種類の結晶について、それぞれ「イオン結晶」「共有結合の結晶」「金属結晶」「分子結晶」のどれに分類されるか答えよ。
A:融点が高く、固体では電気を通さないが、融解すると電気を通すようになる。 B:融点がきわめて高く、非常に硬いが、固体・液体のどちらの状態でも電気を通さない。 C:融点は低く、軟らかい固体で、電気を通さない。 D:たたくと薄く広がり(展性)、固体のままでもよく電気を通す。
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A:固体では電気を通さないが融解すると電気を通すのは、イオンが融解によって自由に動けるようになるためであり、イオン結晶の特徴です。
B:融点がきわめて高く非常に硬いが、固体・液体どちらでも電気を通さないのは、共有結合が三次元的に連続した共有結合の結晶(ダイヤモンドや $\ce{SiO2}$)の特徴です。
C:融点が低く軟らかいのは、分子間力という弱い力で結びついている分子結晶の特徴です。
D:展性を示し固体のままで電気を通すのは、自由電子を持つ金属結晶に特有の性質です。
答え:A イオン結晶、B 共有結合の結晶、C 分子結晶、D 金属結晶
問題7
問題
アルミニウム $\ce{Al}$(原子量27.0)は面心立方格子の結晶で、密度は $2.70\ \mathrm{g/cm^3}$ である。アボガドロ定数を $6.02\times10^{23}\ \mathrm{/mol}$ として、単位格子の一辺の長さ $a$ を有効数字3桁で求めよ。
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密度の式 $\rho=\dfrac{nM}{N_Aa^3}$ を $a^3$ について解くと、
$a^3=\frac{nM}{N_A\rho}$
面心立方格子なので $n=4$。$M=27.0$、$N_A=6.02\times10^{23}$、$\rho=2.70$ を代入すると、
$a^3=\frac{4\times27.0}{6.02\times10^{23}\times2.70}=\frac{108}{16.254\times10^{23}}=6.64\times10^{-23}\ \mathrm{cm^3}$
$a^3=66.4\times10^{-24}\ \mathrm{cm^3}$ の立方根を求めると、$4.05^3\approx66.4$ なので、
$a\approx4.05\times10^{-8}\ \mathrm{cm}$
答え:$a\approx4.05\times10^{-8}\ \mathrm{cm}$
問題8
問題
タングステン $\ce{W}$(原子量184)は体心立方格子の結晶で、密度は $19.3\ \mathrm{g/cm^3}$ である。アボガドロ定数を $6.02\times10^{23}\ \mathrm{/mol}$、$\sqrt{3}=1.73$ として、次の問いに答えよ。
(1) 単位格子の一辺の長さ $a$ を有効数字3桁で求めよ。 (2) タングステン原子の半径 $r$ を有効数字3桁で求めよ。
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(1)
体心立方格子なので $n=2$。$a^3=\dfrac{nM}{N_A\rho}$ に代入すると、
$a^3=\frac{2\times184}{6.02\times10^{23}\times19.3}=\frac{368}{116.2\times10^{23}}=3.17\times10^{-23}\ \mathrm{cm^3}$
$a^3=31.7\times10^{-24}\ \mathrm{cm^3}$ の立方根を求めると、$3.16^3\approx31.6$ なので、
$a\approx3.16\times10^{-8}\ \mathrm{cm}$
(2)
体心立方格子では $r=\dfrac{\sqrt{3}}{4}a$ が成り立つので、
$r=\frac{1.73}{4}\times3.16\times10^{-8}=0.4325\times3.16\times10^{-8}\approx1.37\times10^{-8}\ \mathrm{cm}$
答え:(1) $a\approx3.16\times10^{-8}\ \mathrm{cm}$ (2) $r\approx1.37\times10^{-8}\ \mathrm{cm}$