化学 / 物質の状態変化

頻出解法パターン

パターン1: 温度は必ず絶対温度に変換してから計算する

こんな問題で使う

ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル・シャルルの法則、状態方程式など、気体の法則が関わるすべての問題。

解法の手順

  1. 問題文に出てくる温度が、セルシウス温度(℃)か絶対温度(K)かを確認する。
  2. セルシウス温度で与えられている場合は、$T[\mathrm{K}]=t[℃]+273$ で必ず絶対温度に変換する。
  3. 変換した絶対温度を使って、法則の比例式・状態方程式に代入する。
  4. 答えが絶対温度で出た場合、問題が℃での答えを求めていれば、最後に $273$ を引いて戻す。

具体例

$27℃$ は $27+273=300\ \mathrm{K}$、$127℃$ は $127+273=400\ \mathrm{K}$ に変換してから、シャルルの法則やボイル・シャルルの法則の式に代入する。

パターン2: 一定に保たれている量を見極めて、適切な気体の法則を選ぶ

こんな問題で使う

圧力・体積・温度のうち、いくつかが変化する気体の状態変化の問題。

解法の手順

  1. 問題文から、圧力・体積・温度のうち、変化前と変化後で「変わらない量」があるかを確認する。
  2. 温度が一定ならボイルの法則 $P_1V_1=P_2V_2$、圧力が一定ならシャルルの法則 $\dfrac{V_1}{T_1}=\dfrac{V_2}{T_2}$、両方変化するならボイル・シャルルの法則 $\dfrac{P_1V_1}{T_1}=\dfrac{P_2V_2}{T_2}$ を使う。
  3. 変化前・変化後の値を、対応する記号に整理して代入する。

具体例

体積が一定に保たれたまま温度だけが変化する問題では、$\dfrac{P_1V_1}{T_1}=\dfrac{P_2V_2}{T_2}$ の $V_1=V_2$ として約分すると、$\dfrac{P_1}{T_1}=\dfrac{P_2}{T_2}$(定積変化の関係)になる。

パターン3: 状態方程式 PV=nRT に、単位をそろえてから代入する

こんな問題で使う

気体の圧力・体積・物質量・温度のいずれかを求める問題、モル質量(分子量)を求める問題。

解法の手順

  1. 圧力を $\mathrm{Pa}$、体積を $\mathrm{L}$、温度を絶対温度 $\mathrm{K}$ に統一する($R=8.3\times10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)}$ を使う場合)。
  2. 物質量 $n$ が直接与えられていなければ、質量 $w$ とモル質量 $M$ から $n=\dfrac{w}{M}$ で求める。
  3. $PV=nRT$(または $PV=\dfrac{w}{M}RT$)に数値を代入し、求めたい量について解く。

具体例

質量・体積・圧力・温度が与えられ、モル質量を求める問題では、$M=\dfrac{wRT}{PV}$ の形に変形してから数値を代入すると計算しやすい。

パターン4: 混合気体の問題は「成分ごとに状態方程式、合計して全圧」の順で考える

こんな問題で使う

複数の気体が混ざった混合気体の、分圧・全圧・モル分率を求める問題。

解法の手順

  1. 各成分気体について、物質量(または体積比)を確認する。
  2. モル分率 $x_A=\dfrac{n_A}{n_{\text{全}}}$ を計算する(気体では体積比・分子数比とも一致する)。
  3. 全圧がわかっていれば $P_A=x_A\times P_{\text{全}}$ で分圧を求め、全圧がわからなければ各成分気体について状態方程式で分圧を求めてから合計する。

具体例

異なる容器の気体をコックでつないで混合する問題では、それぞれの気体についてボイルの法則 $P_1V_1=P_2V_2$(混合後の体積を使う)を使って分圧を求め、最後にすべて足し合わせて全圧を求める。

パターン5: 実在気体の性質を問われたら「高温・低圧に近いか」で判断する

こんな問題で使う

実在気体が理想気体からどれだけずれているか、どのような条件でずれが大きくなるかを説明する問題。

解法の手順

  1. 問題の条件が高温か低温か、高圧か低圧かを確認する。
  2. 低温であれば分子間力の影響が強くなる(引力によって圧力・体積が理想気体の予想より小さくなる)と判断する。
  3. 高圧であれば分子自身の体積の影響が強くなる(体積が理想気体の予想より大きくなる)と判断する。
  4. 圧縮率因子 $Z=\dfrac{PV}{nRT}$ が与えられている場合は、$Z<1$ なら分子間力の影響、$Z>1$ なら分子自身の体積の影響が優勢であると読み取る。

具体例

$Z=0.98$ のように1より小さい値が与えられていれば、実測の体積(圧力)が理想気体の予想より小さくなっており、分子間力(引力)の影響が強く出ていると判断できる。

パターン6: 密閉容器内の蒸発の問題は「全部蒸発したと仮定」してから飽和蒸気圧と比較する

こんな問題で使う

一定体積・一定温度の密閉容器に液体を入れたとき、すべて蒸発するか、一部が液体のまま残るかを判定する問題。

解法の手順

  1. 容器に入れた物質の質量から物質量を求め、「もしすべて気体になったら」と仮定して、状態方程式で圧力を計算する。
  2. その温度における飽和蒸気圧の値を確認する。
  3. 仮定の圧力が飽和蒸気圧以下であれば、矛盾なくすべて蒸発しており、その仮定の圧力が実際の圧力になる。
  4. 仮定の圧力が飽和蒸気圧を超えていれば、実際にはすべて蒸発できず、蒸気の圧力は飽和蒸気圧に等しくなる(液体が一部残る)。気体として存在する物質量は、飽和蒸気圧を使って状態方程式から逆算して求める。

具体例

すべて蒸発すると仮定した圧力が飽和蒸気圧を超えてしまった場合、実際の蒸気の圧力は飽和蒸気圧の値になり、$n_{\text{気体}}=\dfrac{P_{\text{飽和}}V}{RT}$ で気体として存在する物質量を求め、残りが液体として存在すると判断する。