化学基礎 / 物質量と化学反応式

化学反応式の書き方と係数

要点整理

化学反応式とは

化学変化の前後で、どのような物質がどのような物質に変化するのかを、化学式を使って表した式を化学反応式といいます。矢印の左側には反応前の物質(反応物)を、右側には反応後にできる物質(生成物)を書きます。

たとえば、水素と酸素が反応して水ができる変化は、次のように表されます。

$\ce{2H2 + O2 -> 2H2O}$

化学式の前につけられている数字を係数といい、それぞれの物質が反応する(生成する)ときの物質量の比を表しています。この式は、「水素分子2個(2mol)と酸素分子1個(1mol)が反応すると、水分子2個(2mol)ができる」ということを表しています。係数が1のときは、数字を省略して書きます。

化学反応式が満たすべき条件:原子の数の保存

化学反応は、原子の組み合わせ(結合の仕方)が変わるだけで、反応の前後で原子そのものが新しく生まれたり消えたりすることはありません(質量保存の法則)。したがって、正しい化学反応式では、矢印の左側と右側で、それぞれの原子の種類と数が完全に一致していなければなりません

先ほどの水素と酸素の反応で確認してみましょう。

$\ce{2H2 + O2 -> 2H2O}$

  • H原子の数:左辺は $2\times2=4$ 個、右辺は $2\times2=4$ 個 → 一致
  • O原子の数:左辺は $1\times2=2$ 個、右辺は $2\times1=2$ 個 → 一致

このように、両辺で原子の数が一致していることを確認できれば、正しい化学反応式であるといえます。

係数をつり合わせる手順

化学反応式の係数を決める(つり合わせる)ときは、次のような手順で進めると間違いが少なくなります。

  1. 反応物と生成物の化学式を、矢印でつないですべて書き出す(まだ係数はつけない)。
  2. 化学式の中に複数回登場する原子(炭素Cや水素Hなど)から先に、係数をそろえていく。一般に、**炭素(C)→水素(H)→酸素(O)**の順に合わせると、うまくいくことが多い(酸素は多くの反応式の右辺にだけ複数回現れるため、最後に調整する対象にしやすい)。
  3. 分数の係数が出てきてしまった場合は、式全体を何倍かして、すべての係数が整数になるようにする。
  4. 最後に、すべての原子について、両辺の数が一致しているかを表にして確認する。

具体的に、プロパンの完全燃焼の反応式をつくってみましょう。プロパン $\ce{C3H8}$ が酸素 $\ce{O2}$ と反応すると、二酸化炭素 $\ce{CO2}$ と水 $\ce{H2O}$ ができます。

$\ce{C3H8 + O2 -> CO2 + H2O}$

まず炭素Cの数をそろえます。左辺の $\ce{C3H8}$ には炭素が3個あるので、右辺の $\ce{CO2}$ の係数を3にします。

$\ce{C3H8 + O2 -> 3CO2 + H2O}$

次に水素Hの数をそろえます。左辺の $\ce{C3H8}$ には水素が8個あるので、右辺の $\ce{H2O}$ の係数を4にします($4\times2=8$)。

$\ce{C3H8 + O2 -> 3CO2 + 4H2O}$

最後に酸素Oの数をそろえます。右辺の酸素の数は、$\ce{CO2}$ から $3\times2=6$ 個、$\ce{H2O}$ から $4\times1=4$ 個で、合計 $6+4=10$ 個です。左辺は $\ce{O2}$ だけなので、係数を $\dfrac{10}{2}=5$ にします。

$\ce{C3H8 + 5O2 -> 3CO2 + 4H2O}$

すべての係数が整数になっているので、これで完成です。両辺の原子の数を確認すると、C:3個=3個、H:8個=8個、O:$5\times2=10$個=$3\times2+4\times1=10$個と、すべて一致しています。

例題

例題1(基本)

問題

次の化学反応式の係数($a,b,c,d$)を求めよ。

$\ce{a Na + b H2O -> c NaOH + d H2}$

解答・解説を見る

まず、Naの数に注目します。左辺にNaが $a$ 個、右辺にNaが $c$ 個あるので、$a=c$ です。ここでは最も簡単な場合として $a=c=1$ としてみます。

$\ce{Na + b H2O -> NaOH + d H2}$

次にOの数に注目します。左辺のOは $\ce{H2O}$ から $b$ 個、右辺のOは $\ce{NaOH}$ から1個なので、$b=1$ です。

$\ce{Na + H2O -> NaOH + d H2}$

最後にHの数を確認します。左辺のHは、$\ce{H2O}$(1個)から $1\times2=2$ 個です。右辺のHは、$\ce{NaOH}$ から1個、$\ce{H2}$ から $d\times2$ 個で、合計 $1+2d$ 個です。両辺のHの数が一致するように、

$2 = 1+2d$

これを解くと $2d=1$、$d=\dfrac{1}{2}$ となり、分数になってしまいます。分数の係数をなくすため、式全体を2倍します。

$\ce{2Na + 2H2O -> 2NaOH + H2}$

答え:$a=2$、$b=2$、$c=2$、$d=1$

例題2(標準)

問題

エタノール $\ce{C2H5OH}$ の完全燃焼を表す化学反応式を完成させよ。

$\ce{C2H5OH + O2 -> CO2 + H2O}$

解答・解説を見る

炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の順に係数をそろえていきます。

炭素を合わせる

左辺の $\ce{C2H5OH}$ には炭素が2個あるので、右辺の $\ce{CO2}$ の係数を2にします。

$\ce{C2H5OH + O2 -> 2CO2 + H2O}$

水素を合わせる

左辺の $\ce{C2H5OH}$ には水素が6個あります(C2の後のH5に加えて、OHのHも1個)。右辺の $\ce{H2O}$ の係数を3にすれば、水素は $3\times2=6$ 個になります。

$\ce{C2H5OH + O2 -> 2CO2 + 3H2O}$

酸素を合わせる

右辺の酸素の数を数えます。$\ce{CO2}$ から $2\times2=4$ 個、$\ce{H2O}$ から $3\times1=3$ 個で、合計 $4+3=7$ 個です。

左辺の酸素は、$\ce{C2H5OH}$ の中にすでに1個含まれているので、$\ce{O2}$ から補うべき酸素原子の数は $7-1=6$ 個です。$\ce{O2}$ 分子1個には酸素原子が2個含まれるので、係数は $\dfrac{6}{2}=3$ になります。

$\ce{C2H5OH + 3O2 -> 2CO2 + 3H2O}$

答え:$\ce{C2H5OH + 3O2 -> 2CO2 + 3H2O}$

例題3(応用)

問題

アルミニウムに希塩酸を加えると、塩化アルミニウムと水素が発生する。この反応の化学反応式を完成させよ。

$\ce{Al + HCl -> AlCl3 + H2}$

解答・解説を見る

まず、Alの数に注目すると、左辺のAlは1個、右辺の $\ce{AlCl3}$ のAlも1個なので、Alの係数はどちらも1のままで問題ありません。

次に、Clの数に注目します。右辺の $\ce{AlCl3}$ にはClが3個あるので、左辺の $\ce{HCl}$ の係数を3にします。

$\ce{Al + 3HCl -> AlCl3 + H2}$

最後に、Hの数を確認します。左辺のHは、$\ce{HCl}$ が3個分なので3個です。右辺のHは $\ce{H2}$ から $d\times2$ 個( $d$ は $\ce{H2}$ の係数)なので、

$3 = 2d \quad\Rightarrow\quad d = \frac{3}{2}$

分数の係数が出てきたので、式全体を2倍して分数を消します。

$\ce{2Al + 6HCl -> 2AlCl3 + 3H2}$

両辺の原子の数を確認すると、Al:2個=2個、Cl:$6$個=$2\times3=6$個、H:$6$個=$3\times2=6$個と、すべて一致しています。

答え:$\ce{2Al + 6HCl -> 2AlCl3 + 3H2}$

練習問題

問題

メタン $\ce{CH4}$ の完全燃焼を表す化学反応式を完成させよ。

$\ce{CH4 + O2 -> CO2 + H2O}$

答え

$\ce{CH4 + 2O2 -> CO2 + 2H2O}$