化学基礎 / 物質量と化学反応式
モル質量と気体のモル体積
要点整理
モル質量
原子量・分子量・式量は、いずれも単位を持たない相対的な数値でしたが、これらの数値にg/molという単位をつけたものをモル質量と呼びます。モル質量は、その物質1molあたりの質量(グラム)を表します。
たとえば炭素の原子量は12なので、炭素のモル質量は $12\,\mathrm{g/mol}$ です。これは「炭素原子 $6.02\times10^{23}$ 個(=1mol)を集めると、質量がちょうど $12\,\mathrm{g}$ になる」ということを意味しています。同様に、水の分子量は18なので、水のモル質量は $18\,\mathrm{g/mol}$ です。
物質量 $n\,[\mathrm{mol}]$、質量 $w\,[\mathrm{g}]$、モル質量 $M\,[\mathrm{g/mol}]$ の間には、次の関係が成り立ちます。
$n = \frac{w}{M}$
この式を変形すれば、$w=nM$ として質量を求めることも、$M=\dfrac{w}{n}$ としてモル質量を求めることもできます。
気体のモル体積
固体や液体とちがい、気体の体積は、温度や圧力によって大きく変化します。そこで、気体の体積を比較するときには、**標準状態(STP)**と呼ばれる決まった条件、すなわち温度 $0\ \mathrm{^\circ C}$(絶対温度で $273\,\mathrm{K}$)、圧力 $1.013\times10^5\,\mathrm{Pa}$(1気圧)のもとで考えるのが一般的です。
アボガドロの法則により、「同温・同圧のもとでは、気体の種類によらず、同じ体積の中に同じ数の分子が含まれる」ことが知られています。この法則から、標準状態においては、気体の種類によらず、気体1molが占める体積は常に同じ値になることが導かれます。この値を気体のモル体積と呼び、その値は
$22.4\,\mathrm{L/mol}$
です。つまり、水素・酸素・二酸化炭素など、どのような気体であっても、標準状態で1molを集めれば、その体積はおよそ $22.4\,\mathrm{L}$ になります(ただし、これは理想気体としてふるまうことを仮定した近似的な値であり、実在の気体では厳密には多少のずれがあります)。
物質量 $n\,[\mathrm{mol}]$ と、標準状態における気体の体積 $V\,[\mathrm{L}]$ の間には、次の関係が成り立ちます。
$n = \frac{V}{22.4}$
3つの経路のまとめ
ここまでで、物質量 $n\,[\mathrm{mol}]$ を中心に、3つの異なる量とのつながりが登場しました。
| 求めたい/与えられた量 | 物質量との関係式 |
|---|---|
| 粒子の数 $N$ | $n=\dfrac{N}{N_A}$($N_A=6.02\times10^{23}\,/\mathrm{mol}$) |
| 質量 $w\,[\mathrm{g}]$ | $n=\dfrac{w}{M}$($M$:モル質量) |
| 標準状態の気体の体積 $V\,[\mathrm{L}]$ | $n=\dfrac{V}{22.4}$ |
これらの式はすべて「物質量 $n$」を仲立ちとしているので、たとえば「気体の体積から質量を求める」といった問題も、いったん物質量 $n$ を経由して計算すれば求めることができます。
例題
例題1(基本)
問題
水酸化ナトリウム $\ce{NaOH}$(式量40)$20\,\mathrm{g}$ は何molか。
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$\ce{NaOH}$ の式量は40なので、モル質量は $40\,\mathrm{g/mol}$ です。$n=\dfrac{w}{M}$ に、$w=20$、$M=40$ を代入します。
$n = \frac{20}{40} = 0.50$
答え:0.50 mol
例題2(標準)
問題
標準状態で $5.6\,\mathrm{L}$ の酸素 $\ce{O2}$(分子量32)がある。この酸素の物質量と質量を求めよ。
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物質量
標準状態での気体の体積から物質量を求める式 $n=\dfrac{V}{22.4}$ に、$V=5.6$ を代入します。
$n = \frac{5.6}{22.4} = 0.25$
質量
物質量が求まったので、$w=nM$ に $n=0.25$、$M=32$ を代入して質量を求めます。
$w = 0.25\times32 = 8.0$
答え:物質量は0.25 mol、質量は8.0 g
例題3(応用)
問題
プロパン $\ce{C3H8}$(分子量44)$8.8\,\mathrm{g}$ について、(1)物質量、(2)分子の数、(3)標準状態における体積を、それぞれ求めよ。アボガドロ数を $6.02\times10^{23}\,/\mathrm{mol}$ とする。
解答・解説を見る
(1) 物質量
$n=\dfrac{w}{M}$ に $w=8.8$、$M=44$ を代入します。
$n = \frac{8.8}{44} = 0.20\,\mathrm{mol}$
(2) 分子の数
物質量にアボガドロ数を掛けます。
$N = n\times N_A = 0.20\times6.02\times10^{23}$
$= 1.204\times10^{23} \approx 1.2\times10^{23}\,\text{個}$
(3) 標準状態における体積
標準状態では気体1molあたり $22.4\,\mathrm{L}$ なので、物質量に $22.4$ を掛けます。
$V = n\times22.4 = 0.20\times22.4 = 4.48\,\mathrm{L}$
答え:(1) 0.20 mol (2) 約 $1.2\times10^{23}$ 個 (3) 4.48 L
(このように、質量→物質量→分子の数・体積、という順に、必ず物質量を経由して計算するのが基本の流れです。)
練習問題
問題
標準状態で $11.2\,\mathrm{L}$ を占める気体の二酸化炭素 $\ce{CO2}$(分子量44)がある。この二酸化炭素の質量は何gか。
答え
$n=\dfrac{11.2}{22.4}=0.500\,\mathrm{mol}$、$w=nM=0.500\times44=22.0\,\mathrm{g}$