有機化学 / 官能基を持つ脂肪族化合物
章末問題
章末問題
問題1
問題
1-プロパノール $\ce{C3H7OH}$ $0.3\ \mathrm{mol}$ に、十分な量のナトリウムを反応させた。発生する水素は標準状態で何Lか。
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アルコールとナトリウムの反応は、
$\ce{2 C3H7OH + 2Na -> 2 C3H7ONa + H2}$
であり、係数比から $\ce{C3H7OH}:\ce{H2}=2:1$ です。1-プロパノール $0.3\ \mathrm{mol}$ が反応すると、
$n(\ce{H2}) = 0.3\times\frac{1}{2} = 0.15\ \mathrm{mol}$
標準状態のモル体積 $22.4\ \mathrm{L/mol}$ を用いると、
$V = 0.15\times 22.4 = 3.36\ \mathrm{L}$
答え:$3.36\ \mathrm{L}$
問題2
問題
分子式 $\ce{C4H10O}$ で表される化合物の構造異性体は、アルコールとエーテルをあわせて何種類あるか。それぞれ構造式を書いて確認せよ。
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アルコール(4種類)
主鎖がn-ブタン型(直鎖)の場合、ヒドロキシ基の位置によって次の2種類。
- $\ce{CH3-CH2-CH2-CH2-OH}$(1-ブタノール、第一級)
- $\ce{CH3-CH2-CH(OH)-CH3}$(2-ブタノール、第二級)
主鎖がイソブタン型(枝分かれ)の場合、ヒドロキシ基の位置によって次の2種類。
- $\ce{(CH3)2CH-CH2-OH}$(2-メチル-1-プロパノール、第一級)
- $\ce{(CH3)3C-OH}$(2-メチル-2-プロパノール、第三級)
エーテル(3種類)
炭素4個を、酸素をはさんだ両側にどう振り分けるかで決まります(1個+3個、2個+2個の組み合わせ)。
- $\ce{CH3-O-CH2-CH2-CH3}$(メチルプロピルエーテル)
- $\ce{CH3-O-CH(CH3)2}$(メチルイソプロピルエーテル)
- $\ce{CH3-CH2-O-CH2-CH3}$(ジエチルエーテル)
答え:アルコール4種類+エーテル3種類の、合計7種類
問題3
問題
1-ブタノール $\ce{CH3-CH2-CH2-CH2-OH}$ を酸化すると、最終的にどのような化合物になるか。途中の生成物も含めて、$\mathrm{(O)}$ を用いた反応式で示せ。
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1-ブタノールは第一級アルコールなので、まずアルデヒドに酸化され、さらにカルボン酸まで酸化が進みます。
$\ce{CH3-CH2-CH2-CH2-OH + (O) -> CH3-CH2-CH2-CHO + H2O}$
$\ce{CH3-CH2-CH2-CHO + (O) -> CH3-CH2-CH2-COOH}$
答え:ブタナール $\ce{CH3-CH2-CH2-CHO}$ を経て、ブタン酸(酪酸)$\ce{CH3-CH2-CH2-COOH}$ になる。
問題4
問題
プロパナール(プロピオンアルデヒド)$\ce{CH3-CH2-CHO}$ と、ジエチルケトン(3-ペンタノン)$\ce{CH3-CH2-CO-CH2-CH3}$ に、それぞれアンモニア性硝酸銀水溶液を加えて温めた。銀が析出するのはどちらか、理由とともに答えよ。
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銀鏡反応が起こるのは、カルボニル炭素に水素原子が残っているアルデヒドの場合です。プロパナールはアルデヒド基 $\ce{-CHO}$ を持ち、カルボニル炭素に水素原子が1個結合しているため還元性を示し、銀が析出します。一方、ジエチルケトンはケトンであり、カルボニル炭素には2つのエチル基が結合しているだけで水素原子が残っていないため、還元性を示さず銀は析出しません。
答え:プロパナールで銀が析出する。カルボニル炭素に水素原子を持つアルデヒドは還元性を示すが、ケトンであるジエチルケトンは水素原子を持たず還元性を示さないため。
問題5
問題
ギ酸 $\ce{HCOOH}$、酢酸 $\ce{CH3COOH}$、エタノール $\ce{C2H5OH}$ の3種類の無色の液体がある。(1) それぞれに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたとき、気体が発生するのはどれか。(2) それぞれにアンモニア性硝酸銀水溶液を加えて温めたとき、銀が析出するのはどれか。
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(1) 炭酸水素ナトリウムとの反応
炭酸水素ナトリウムと反応して二酸化炭素を発生するのは、炭酸より強い酸であるカルボン酸(カルボキシ基を持つもの)です。ギ酸・酢酸はどちらもカルボン酸なので反応しますが、エタノールはアルコールでありカルボン酸より弱い酸(ほぼ中性)なので反応しません。
(2) 銀鏡反応
ふつうのカルボン酸(酢酸)やアルコール(エタノール)は還元性を持たず、銀鏡反応を示しません。しかし、ギ酸は $\ce{H-COOH}$ という構造の中にアルデヒドと同じ「カルボニル炭素に直結した水素原子」を持つため、例外的に還元性を示し、銀鏡反応が陽性になります。
答え:(1) ギ酸と酢酸(どちらもカルボン酸であるため)。(2) ギ酸のみ(カルボニル炭素に水素原子を持ち、例外的に還元性を示すため)。
問題6
問題
酢酸メチル $\ce{CH3COOCH3}$(分子量 $74$)$7.4\ \mathrm{g}$ を、水酸化ナトリウム水溶液で完全にけん化したい。必要な水酸化ナトリウム(式量 $40$)は何gか。また、生成するアルコールの名称を答えよ。
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けん化の反応式は、
$\ce{CH3COOCH3 + NaOH -> CH3COONa + CH3OH}$
であり、エステルと $\ce{NaOH}$ は $1:1$ の物質量比で反応します。酢酸メチルの物質量は、
$n(\text{酢酸メチル}) = \frac{7.4}{74} = 0.1\ \mathrm{mol}$
必要な $\ce{NaOH}$ も同じく $0.1\ \mathrm{mol}$ なので、その質量は、
$0.1\times 40 = 4.0\ \mathrm{g}$
生じるアルコールは、メチル基由来のメタノール $\ce{CH3OH}$ です。
答え:必要な水酸化ナトリウムは $4.0\ \mathrm{g}$。生じるアルコールはメタノール。
問題7
問題
ある油脂のけん化価は $168$ であった(水酸化カリウムの式量を $56$ とする)。この油脂 $1\ \mathrm{g}$ に含まれるエステル結合の物質量はおよそ何molか。また、けん化価が大きいほど、構成する脂肪酸の平均分子量についてどのようなことがいえるか答えよ。
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エステル結合の物質量
けん化価は、油脂 $1\ \mathrm{g}$ をけん化するのに必要な水酸化カリウムの質量を $\mathrm{mg}$ で表した値です。したがって、必要な $\ce{KOH}$ の物質量は、
$n(\ce{KOH}) = \frac{168\ \mathrm{mg}}{56\ \mathrm{mg/mmol}} = 3\ \mathrm{mmol} = 3\times10^{-3}\ \mathrm{mol}$
けん化ではエステル結合1か所につき $\ce{KOH}$ が1分子反応するので、この油脂 $1\ \mathrm{g}$ に含まれるエステル結合も同じ $3\times10^{-3}\ \mathrm{mol}$ です。
けん化価と脂肪酸の平均分子量の関係
同じ質量の油脂でも、構成する脂肪酸の分子量が小さいほど、含まれるエステル結合(脂肪酸)の物質量は多くなり、けん化に必要な $\ce{KOH}$ も多くなります。したがって、けん化価が大きいほど、構成する脂肪酸の平均分子量は小さいといえます。
答え:エステル結合の物質量は約 $3\times10^{-3}\ \mathrm{mol}$。けん化価が大きいほど、構成する脂肪酸の平均分子量は小さい。
問題8
問題
ジメチルアミン $\ce{(CH3)2NH}$ を塩酸に加えたときの反応式を書け。また、酢酸とジメチルアミンから水がとれてアミドが生成する反応式を書き、生成物の官能基の名称を答えよ。
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塩酸との反応
ジメチルアミンの窒素原子上の非共有電子対が $\ce{H+}$ を受け取り、塩を作ります。
$\ce{(CH3)2NH + HCl -> (CH3)2NH2Cl}$
アミドの生成
酢酸のカルボキシ基と、ジメチルアミンのアミノ基から水がとれて結合ができます。
$\ce{CH3COOH + (CH3)2NH -> CH3CON(CH3)2 + H2O}$
生成物には、カルボニル基の炭素と窒素原子が直接結合したアミド結合が含まれています。
答え:$\ce{(CH3)2NH + HCl -> (CH3)2NH2Cl}$。$\ce{CH3COOH + (CH3)2NH -> CH3CON(CH3)2 + H2O}$、生成物の官能基はアミド結合。