化学基礎 / 物質量と化学反応式

原子量・分子量・式量

要点整理

前の単元で学んだ原子量は、天然に存在する同位体の存在比を考慮した、元素ごとの平均的な相対質量でした。この原子量をもとに、分子やイオン結晶などの「物質全体としての相対質量」を表す量として、分子量式量があります。

分子量

水や二酸化炭素のように、決まった数の原子が共有結合で結びついた「分子」としてまとまっている物質については、その分子式に含まれるすべての原子の原子量を合計した値を分子量と呼びます。

$\text{分子量} = \sum (\text{原子量}\times \text{その原子の数})$

たとえば水 $\ce{H2O}$ の分子量は、水素の原子量を $1.0$、酸素の原子量を $16$ とすると、水素原子2個分と酸素原子1個分の原子量を合計して求めます。

$1.0\times2 + 16\times1 = 18$

分子量も原子量と同様に、単位を持たない相対的な数値です。

式量

塩化ナトリウム $\ce{NaCl}$ のようなイオン結晶や、鉄 $\ce{Fe}$ のような金属では、決まった数の原子が集まった「1個の分子」というまとまりが存在しません。イオン結晶は、非常に多数の陽イオンと陰イオンが規則正しく並んでできており、金属も非常に多数の原子が集まってできています。

そこで、これらの物質については、その物質を代表する最も簡単な整数比(組成式、イオンからなる物質の場合はイオン式とも呼ばれる)に含まれる原子量を合計した値を、式量と呼びます。式量の計算方法は、分子量の場合と同じく、組成式に含まれる原子の原子量をすべて合計するだけです。

たとえば塩化ナトリウム $\ce{NaCl}$ の式量は、ナトリウムの原子量を $23$、塩素の原子量を $35.5$ とすると、

$23+35.5 = 58.5$

分子量と式量は、どちらも「物質を表す化学式に含まれる原子量の合計」という点では同じ計算方法であり、対象が分子でできた物質かどうかによって呼び方が変わるだけだと理解しておくとよいでしょう。イオン $\ce{Na+}$ や $\ce{SO4^2-}$ のようなイオン自体の相対質量を表す場合も、そのイオン式に含まれる原子量の合計として式量が使われます(電子の質量は無視できるほど小さいため、イオンになっても式量の値はほとんど変わりません)。

まとめ

用語 対象となる物質 求め方
原子量 元素(原子) 同位体の相対質量の加重平均
分子量 分子でできた物質 分子式に含まれる原子量の合計
式量 イオン結晶・金属・イオン 組成式(イオン式)に含まれる原子量の合計

例題

例題1(基本)

問題

原子量をH=1.0、C=12、O=16として、二酸化炭素 $\ce{CO2}$ の分子量を求めよ。

解答・解説を見る

分子式 $\ce{CO2}$ には、炭素原子が1個、酸素原子が2個含まれています。それぞれの原子量に、含まれる原子の数を掛けて合計します。

$12\times1 + 16\times2$

$= 12+32 = 44$

答え:44

例題2(標準)

問題

原子量をNa=23、O=16、H=1.0として、水酸化ナトリウム $\ce{NaOH}$ の式量を求めよ。また、原子量をCa=40、C=12、O=16として、炭酸カルシウム $\ce{CaCO3}$ の式量を求めよ。

解答・解説を見る

水酸化ナトリウム $\ce{NaOH}$

組成式に含まれるNa、O、Hの原子量をそれぞれ1個分ずつ合計します。

$23+16+1.0 = 40$

炭酸カルシウム $\ce{CaCO3}$

組成式にはCaが1個、Cが1個、Oが3個含まれています。

$40+12+16\times3$

$= 40+12+48 = 100$

答え:$\ce{NaOH}$ の式量は40、$\ce{CaCO3}$ の式量は100

例題3(応用)

問題

原子量をN=14、H=1.0、S=32、O=16として、硫酸アンモニウム $\ce{(NH4)2SO4}$ の式量を求めよ。

解答・解説を見る

$\ce{(NH4)2SO4}$ という組成式は、$\ce{NH4}$ というまとまりが2個と、$\ce{SO4}$ というまとまりが1個からできていることを表しています。まず、それぞれの原子が全体で何個ずつ含まれるかを数えます。

  • N:$\ce{NH4}$ が2個分なので、$1\times2=2$ 個
  • H:$\ce{NH4}$ 1個あたり4個の水素があり、それが2個分なので、$4\times2=8$ 個
  • S:$\ce{SO4}$ が1個分なので、1個
  • O:$\ce{SO4}$ 1個あたり4個の酸素があり、それが1個分なので、4個

これらの原子量を、原子の数だけ掛けて合計します。

$14\times2 + 1.0\times8 + 32\times1 + 16\times4$

$= 28+8.0+32+64$

$= 132$

答え:132

(このように、カッコがついた組成式では、カッコの外の数字を、カッコの中の原子の数すべてに掛けることを忘れないようにしましょう。)

練習問題

問題

原子量をC=12、H=1.0、O=16として、エタノール $\ce{C2H5OH}$ の分子量を求めよ。

答え

$12\times2+1.0\times6+16\times1=24+6.0+16=46$