無機化学 / 無機物質の分析

章末問題

問題1

次の(1)~(3)の気体を捕集するのに適した方法(水上置換・上方置換・下方置換)をそれぞれ答えよ。

(1) $\ce{CO2}$(水に少し溶ける、空気より重い) (2) $\ce{NH3}$(水に非常によく溶ける、空気より軽い) (3) $\ce{H2S}$(水に溶けやすい、空気より重い)

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(1) 水に少ししか溶けないため水上置換(下方置換でも可)。(2) 水によく溶け空気より軽いため上方置換。(3) 水に溶けやすく空気より重いため下方置換。

答え:(1) 水上置換 (2) 上方置換 (3) 下方置換

問題2

アンモニアを乾燥させるのに、濃硫酸・ソーダ石灰・塩化カルシウムのうちどれが適切か。適切でないものについては、それぞれ理由も述べよ。

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適切なのはソーダ石灰です。濃硫酸は酸性でNH3(塩基性)と中和反応を起こしてしまうため使えません。塩化カルシウムは中性ですが、NH3と付加化合物$\ce{CaCl2.8NH3}$をつくって反応してしまうため使えません。

答え:ソーダ石灰が適切。濃硫酸は中和反応、塩化カルシウムは付加化合物の生成により、どちらも使えない。

問題3

Cu2+とZn2+を含む酸性の混合水溶液に硫化水素を通じると、Cu2+のみが黒色沈殿として分離できる。この後、残ったZn2+を沈殿させるには、どのような操作をすればよいか。理由とともに答えよ。

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溶液のpHを中性塩基性にしたうえで、再び硫化水素を通じればよい。酸性条件ではS2-濃度が低くCuSしか沈殿できないが、中性塩基性条件ではS2-濃度が高くなるため、CuSより溶解度積が大きい(溶けにくさで劣る)ZnSも沈殿できるようになる。

答え:アンモニア水などを加えて中性~塩基性にしたのち、再び硫化水素を通じる。S2-濃度が上がることでZnSが沈殿できるようになるため。

問題4

Fe3+、Al3+、Zn2+を含む水溶液に過剰のアンモニア水を加えたところ、2種類の沈殿と、無色のろ液に分かれた。ろ液に含まれる金属イオンとその存在形態(化学式)を答えよ。

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Fe3+とAl3+は水酸化物の沈殿(Fe(OH)3、Al(OH)3)として残るが、Zn2+は過剰のアンモニアと安定な錯イオンをつくり、溶液中に残る。

$\ce{Zn^2+ + 4NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+}$

答え:Zn2+が[Zn(NH3)4]2+(テトラアンミン亜鉛(II)イオン)としてろ液中に残る。

問題5

白色沈殿A(希塩酸を加えても変化しない)と、白色沈殿B(希塩酸を加えると気体を発生しながら溶ける)がある。それぞれの沈殿として考えられる化合物を1つずつ挙げ、AとBを見分けられる理由を述べよ。

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Aの例:$\ce{BaSO4}$(硫酸バリウム)。Bの例:$\ce{CaCO3}$(炭酸カルシウム)。

BaSO4は極めて水にも酸にも溶けにくいため希塩酸を加えても変化しないが、CaCO3は弱酸の塩であり、強酸である塩酸を加えると弱酸(炭酸)が遊離し、ただちにCO2とH2Oに分解するため、気体を発生しながら溶ける。

答え:A=BaSO4(酸に溶けない)、B=CaCO3(強酸が弱酸を追い出しCO2を発生しながら溶ける)。

問題6

ある水溶液に塩化バリウム水溶液を加えると白色沈殿が生じ、この沈殿は希硝酸を加えても溶けなかった。この水溶液に含まれていたと考えられる陰イオンを答え、反応式を書け。

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$\ce{Ba^2+ + SO4^2- -> BaSO4 v}$

BaSO4は酸にも溶けない極めて安定な白色沈殿であるため、含まれていた陰イオンは硫酸イオンSO4^2−と判断できる。

答え:硫酸イオンSO4^2−。Ba2++SO4^2−→BaSO4↓

問題7

Ag+、Cu2+、Fe3+、Na+を含む混合水溶液がある。この中からAg+だけをまず分離するには、どのような試薬を加えればよいか。反応式とともに答え、Cu2+・Fe3+・Na+がこの操作で沈殿しない理由も述べよ。

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希塩酸を加えると、Ag+だけが塩化物イオンと結びついて水に溶けにくいAgClの白色沈殿をつくる。

$\ce{Ag+ + Cl- -> AgCl v}$

Cu2+、Fe3+、Na+はいずれも塩化物イオンをつくっても水によく溶けるため、この操作では沈殿せずろ液中に残る。

答え:希塩酸を加える。Ag++Cl−→AgCl↓。Cu2+・Fe3+・Na+の塩化物は水に溶けやすいため沈殿しない。