無機化学 / 非金属元素

頻出解法パターン

パターン1: 気体の製法問題の考え方

こんな問題で使う

特定の気体を発生させる反応式や、その捕集方法・性質を問う問題。

解法の手順

  1. その気体が「強酸が弱酸を追い出す」タイプ(CO2、SO2など)か、「酸化還元反応」タイプ(H2、Cl2など)か、「弱塩基の遊離」タイプ(NH3)かを見分ける。
  2. 反応式を書き、原子の数が両辺で一致しているか必ず数えて確認する。
  3. 発生した気体が水に溶けやすいかどうかを確認する。溶けにくければ水上置換。
  4. 水に溶けやすい場合は、空気より軽いか重いかで上方置換・下方置換を選ぶ。

具体例

アンモニアは弱塩基の塩(塩化アンモニウム)に強塩基(水酸化カルシウム)を加えて発生させる($\ce{2NH4Cl + Ca(OH)2 -> CaCl2 + 2NH3 + 2H2O}$)。水に非常によく溶け、空気より軽いため、捕集は上方置換を用いる。

パターン2: 酸化力の強さから反応の可否を判断する

こんな問題で使う

ハロゲンの単体と、別のハロゲン化物イオンを混ぜたときに反応が起こるかどうかを問う問題。

解法の手順

  1. 関係するハロゲンの酸化力の序列($\mathrm{F_2 > Cl_2 > Br_2 > I_2}$)を思い出す。
  2. 「加えるハロゲン単体」と「もとからある陰イオンのハロゲン」を比較し、加える方が酸化力が強いかどうかを確認する。
  3. 加える単体の方が酸化力が強い場合のみ反応が進み、酸化力の弱い単体を強い陰イオンに加えても反応は起こらない。
  4. 反応が進む場合は、酸化数の変化(単体→イオン、イオン→単体)を書いて反応式を完成させる。

具体例

臭素水にヨウ化カリウム水溶液を加えると、$\mathrm{Br_2}$ は $\mathrm{I^-}$ より酸化力が強いため反応が進み、$\ce{Br2 + 2KI -> 2KBr + I2}$ となる。逆にヨウ素の単体を臭化カリウム水溶液に加えても、ヨウ素は臭素より酸化力が弱いため反応は起こらない。

パターン3: 濃度・温度で反応や生成物が変わる酸との反応を整理する

こんな問題で使う

濃硫酸・希硫酸、濃硝酸・希硝酸のように、同じ酸でも濃度によって金属との反応のしかたが変わる問題。

解法の手順

  1. 相手が「イオン化傾向が水素より大きい金属」か「小さい金属(Cu、Agなど)」かを確認する。
  2. イオン化傾向が水素より大きい金属なら、希硫酸・希硝酸どちらでも水素が発生する(硝酸は酸化力が強いため例外的にNOが発生する場合がある)。
  3. 銅や銀のようにイオン化傾向が水素より小さい金属は、普通の酸(塩酸・希硫酸)には溶けないが、酸化力を持つ熱濃硫酸・希硝酸・濃硝酸には溶ける。
  4. 「熱濃硫酸→SO2」「希硝酸→NO」「濃硝酸→NO2」と、発生する気体の対応を確認して反応式を立てる。

具体例

銅は塩酸には溶けないが、熱濃硫酸には $\ce{Cu + 2H2SO4 -> CuSO4 + SO2 + 2H2O}$ のように溶け、希硝酸には $\ce{3Cu + 8HNO3 -> 3Cu(NO3)2 + 2NO + 4H2O}$ のように溶ける。

パターン4: 平衡・触媒が関わる工業的製法を読み解く

こんな問題で使う

ハーバー・ボッシュ法や接触法のように、可逆反応や触媒が関わる工業的製法の条件を問う問題。

解法の手順

  1. 反応が発熱反応か吸熱反応か、また気体分子数が増えるか減るかを確認する。
  2. ルシャトリエの原理から、目的物質の収率を上げる温度・圧力の条件(理論上の最適条件)を考える。
  3. 反応速度も考慮し、理論上の最適条件のままでは反応が遅すぎないかを検討する。
  4. 実際の工業プロセスでは、触媒を使って反応速度を確保しつつ、収率と速度のバランスが取れる条件(高圧・中程度の温度など)が採用されていることを理解する。

具体例

$\ce{N2 + 3H2 <=> 2NH3}$ は発熱・気体分子数減少の反応なので低温・高圧が収率に有利だが、低温では反応が遅すぎるため、鉄触媒を使い高圧・中程度の温度(約400〜600℃)で操業する。

パターン5: 酸化数の変化を追って一連の工業プロセスを整理する

こんな問題で使う

オストワルト法や接触法のように、同じ元素が複数の反応を経て段階的に酸化・還元されていく一連のプロセスを問う問題。

解法の手順

  1. 出発物質と最終生成物で、注目する元素の酸化数をそれぞれ求める。
  2. 各反応式を1つずつ書き出し、その都度、注目する元素の酸化数がどう変化するかを確認する。
  3. 酸化数が一貫して増加(または減少)していく流れを整理して図式化する。
  4. 途中で酸化数が変化しない反応(吸収や中和など)がある場合は、それが酸化還元反応ではないことも区別しておく。

具体例

オストワルト法では、窒素の酸化数がアンモニアの $-3$ から一酸化窒素の $+2$、二酸化窒素の $+4$、硝酸の $+5$ へと、2段階の酸化反応を経て段階的に上昇していく。

パターン6: 沈殿・色の変化から陰イオン・陽イオンを特定する

こんな問題で使う

未知の水溶液に試薬を加えたときの沈殿の色や溶解性の違いから、含まれるイオンを推定する問題。

解法の手順

  1. 加えた試薬(硝酸銀水溶液、石灰水など)と反応して生じる沈殿の色を確認する。
  2. 沈殿の色から候補となるイオンを絞り込む(例:白色沈殿ならAgClまたはCaCO3など)。
  3. さらにアンモニア水を過剰に加えたときに溶けるかどうかなど、追加の情報で候補を絞り込む。
  4. 一連の観察結果と矛盾しないイオンの組み合わせを結論として答える。

具体例

ある水溶液に硝酸銀水溶液を加えると淡黄色の沈殿が生じ、アンモニア水を過剰に加えてもわずかしか溶けなかった場合、この沈殿は $\mathrm{AgBr}$ であると判断でき、もとの水溶液には臭化物イオンが含まれていたと推定できる。