化学基礎 / 物質の構成

原子の構造(陽子・中性子・電子)

要点整理

原子を構成する3種類の粒子

すべての原子は、中心にある原子核と、そのまわりに存在する電子からできています。原子核はさらに、陽子中性子という2種類の粒子からできています。

粒子 電荷 相対質量(陽子を1とした場合) 存在する場所
陽子 $+1$ $1$ 原子核
中性子 $0$(電荷なし) $1$ 原子核
電子 $-1$ $\dfrac{1}{1840}$ 程度(ほぼ無視できる) 原子核のまわり

原子核は、原子全体の大きさに比べて非常に小さいのですが、陽子と中性子はどちらも電子よりはるかに重いため、原子の質量のほとんどは原子核に集中しているといえます。一方、電子の質量は陽子・中性子に比べて無視できるほど小さいものの、原子の大きさ(体積)は、電子がどこまで広がっているかによって決まります。

原子は、電気的に中性です。これは、原子核中の陽子の数と、そのまわりの電子の数が等しく、正の電荷と負の電荷がちょうど打ち消し合っているためです。

$\text{陽子の数} = \text{電子の数}\quad(\text{中性の原子の場合})$

原子番号と質量数

原子核に含まれる陽子の数を、その原子の原子番号と呼びます。原子番号は元素ごとに決まっており、周期表の元素は原子番号の順に並べられています。つまり、陽子の数がその原子が何という元素であるかを決めているのです。

原子核に含まれる陽子の数と中性子の数の合計を、その原子の質量数と呼びます。陽子と中性子はほぼ同じ質量を持ち、電子の質量はごくわずかなので、質量数は原子のおよその相対的な重さを表す目安になります。

原子番号を $Z$、質量数を $A$、中性子の数を $N$ とすると、次の関係が成り立ちます。

$A = Z + N$

原子の種類を表すときは、元素記号の左上に質量数、左下に原子番号を添えて書きます。たとえば、陽子6個・中性子6個からなる炭素原子は、次のように表します。

$\ce{^{12}_{6}C}$

原子番号は元素記号を見れば決まってしまう(炭素なら必ず原子番号6)ため、実際の文章中では省略され、単に「$\ce{^{12}C}$」や「炭素12」のように質量数だけを示すことも多くあります。

例題

例題1(基本)

問題

ナトリウム原子 $\ce{^{23}_{11}Na}$ について、陽子の数、中性子の数、電子の数をそれぞれ求めよ。

解答・解説を見る

元素記号の左下の数字(11)が原子番号 $Z$、左上の数字(23)が質量数 $A$ を表します。

原子番号 $Z=11$ は陽子の数そのものなので、陽子の数は11個です。

中性子の数 $N$ は、$A=Z+N$ を変形した $N=A-Z$ から求められます。

$N = 23-11 = 12$

中性子の数は12個です。

原子は電気的に中性なので、電子の数は陽子の数と等しくなります。したがって、電子の数も11個です。

答え:陽子11個、中性子12個、電子11個

例題2(標準)

問題

ある原子は、中性子を14個持ち、質量数が27である。この原子の原子番号と電子の数を求めよ。

解答・解説を見る

$A=Z+N$ を原子番号 $Z$ について解くと、$Z=A-N$ となります。質量数 $A=27$、中性子数 $N=14$ を代入すると、

$Z = 27-14 = 13$

原子番号は13です(これはアルミニウム $\ce{Al}$ の原子番号に一致します)。

原子は電気的に中性なので、電子の数は陽子の数(原子番号)と等しくなります。

答え:原子番号13、電子の数13個

例題3(応用)

問題

次の(1)〜(3)の記述のうち、正しいものをすべて選び、誤っているものについてはどこが誤っているかを説明せよ。

(1) 原子の質量は、ほぼすべて原子核に含まれる陽子と中性子の質量の合計で決まる。 (2) ある原子のイオンになっていない状態(中性の原子)では、陽子の数と中性子の数が必ず等しい。 (3) 原子核の中には、原子番号と同じ数の陽子が含まれている。

解答・解説を見る

1つずつ検討します。

(1) 電子の質量は陽子・中性子に比べて非常に小さく(約1/1840)、無視できるほどです。したがって、原子の質量のほとんどは陽子と中性子の質量の合計で決まる、というのは正しい記述です。

(2) 中性の原子で等しいのは「陽子の数」と「電子の数」であり、これは原子全体の電荷がゼロになるための条件です。しかし、陽子の数と中性子の数が等しいとは限りません。たとえば塩素原子 $\ce{^{35}_{17}Cl}$ は陽子17個・中性子18個であり、陽子の数と中性子の数は異なります。したがって、この記述は誤りです。正しくは「陽子の数と電子の数が等しい」です。

(3) 原子番号の定義そのものが「原子核中の陽子の数」なので、この記述は正しいです。

答え:正しいのは(1)と(3)。(2)は誤りで、等しいのは「陽子の数と中性子の数」ではなく「陽子の数と電子の数」である。

練習問題

問題

酸素原子 $\ce{^{16}_{8}O}$ について、陽子・中性子・電子の数をそれぞれ求めよ。

答え

陽子8個、中性子8個($16-8=8$)、電子8個