無機化学 / 遷移元素

章末問題

問題1

Fe2+を含む淡緑色の水溶液に、酸化剤である塩素水を加えたところ、溶液は黄褐色に変化した。この変化を化学反応式で表し、Feの酸化数の変化を答えよ。

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$\ce{2Fe^2+ + Cl2 -> 2Fe^3+ + 2Cl-}$

淡緑色のFe2+が黄褐色のFe3+に変化しており、Feの酸化数は $+2 \to +3$ に増加(酸化)している。

答え:2Fe2+ + Cl2 → 2Fe3+ + 2Cl−。Feの酸化数は+2から+3に増加(酸化)する。

問題2

Fe2+水溶液にNaOH水溶液を加えると緑白色の沈殿が生じ、これを空気中に放置すると赤褐色に変化した。それぞれの沈殿の化学式と、色が変化した理由を反応式とともに答えよ。

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緑白色の沈殿は$\ce{Fe(OH)2}$。これが空気中の酸素によって酸化され、赤褐色の$\ce{Fe(OH)3}$に変化する。

$\ce{4Fe(OH)2 + O2 + 2H2O -> 4Fe(OH)3}$

答え:Fe(OH)2(緑白色)→Fe(OH)3(赤褐色)。空気中のO2によってFeの酸化数が+2から+3に酸化されるため。

問題3

銅に希硝酸を加えた場合と、濃硝酸を加えた場合とで、発生する気体の名称と色をそれぞれ答え、化学反応式を書け。

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希硝酸との反応:

$\ce{3Cu + 8HNO3 -> 3Cu(NO3)2 + 2NO ^ + 4H2O}$

発生する気体は一酸化窒素NO(無色、空気中で赤褐色に変化)。

濃硝酸との反応:

$\ce{Cu + 4HNO3 -> Cu(NO3)2 + 2NO2 ^ + 2H2O}$

発生する気体は二酸化窒素NO2(赤褐色)。

答え:希硝酸→NO(無色)、3Cu+8HNO3→3Cu(NO3)2+2NO+4H2O。濃硝酸→NO2(赤褐色)、Cu+4HNO3→Cu(NO3)2+2NO2+2H2O。

問題4

銅の電解精錬において、粗銅を陽極、純銅を陰極として硫酸酸性の硫酸銅(II)水溶液を電気分解する。陽極・陰極それぞれで起こる反応をイオン反応式で示し、粗銅中の銀が「陽極泥」として回収される理由を説明せよ。

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陽極(粗銅):$\ce{Cu -> Cu^2+ + 2e-}$

陰極(純銅):$\ce{Cu^2+ + 2e- -> Cu}$

銀は銅よりイオン化傾向が小さいため、陽極で銅とともにイオンとして溶け出すことができず、金属のまま陽極の下に沈殿する。これが陽極泥である。

答え:陽極 Cu→Cu2++2e−、陰極 Cu2++2e−→Cu。銀は銅よりイオン化傾向が小さく、陽極で溶けきれずに単体のまま沈むため。

問題5

Cl−、Br−、I−をそれぞれ含む水溶液に硝酸銀水溶液を加えると、いずれも沈殿が生じた。生じる沈殿の化学式と色を答えよ。また、これらのうち過剰のアンモニア水によく溶けるものはどれか答えよ。

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$\ce{AgCl}$(白色)、$\ce{AgBr}$(淡黄色)、$\ce{AgI}$(黄色)がそれぞれ生じる。このうち過剰のアンモニア水によく溶けるのはAgClで、$\ce{[Ag(NH3)2]+}$という錯イオンをつくって溶解する。AgBrはわずかに溶ける程度、AgIはほとんど溶けない。

答え:AgCl(白)、AgBr(淡黄)、AgI(黄)。よく溶けるのはAgCl。

問題6

クロム酸カリウム水溶液(黄色)に希硫酸を加えると、溶液の色が赤橙色に変化した。この現象を平衡移動の考え方(ルシャトリエの原理)を用いて説明せよ。

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$\ce{2CrO4^2- + 2H+ <=> Cr2O7^2- + H2O}$

希硫酸を加えるとH+の濃度が増加し、この平衡はH+が消費される右向き(二クロム酸イオン側)に移動する。その結果、黄色のクロム酸イオンが減少し、赤橙色の二クロム酸イオンが増加するため、溶液の色が赤橙色に変化する。

答え:H+を加えると平衡が右(Cr2O7^2−側)に移動し、黄色から赤橙色に変化する。

問題7

濃度未知のシュウ酸水溶液10.0 mLを希硫酸で酸性にしたのち、0.0400 mol/Lの過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、12.5 mL加えたところで終点となった。もとのシュウ酸水溶液のモル濃度を求めよ。ただし、反応は次の通りである。

$\ce{2KMnO4 + 5H2C2O4 + 3H2SO4 -> 2MnSO4 + 10CO2 ^ + K2SO4 + 8H2O}$

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反応式の係数比より、KMnO4とH2C2O4は $2:5$ の物質量比で反応する。

$n(\ce{KMnO4}) = 0.0400\times\frac{12.5}{1000} = 5.00\times 10^{-4}\ \mathrm{mol}$

$n(\ce{H2C2O4}) = \frac{5}{2}\times 5.00\times 10^{-4} = 1.25\times 10^{-3}\ \mathrm{mol}$

もとの溶液のモル濃度は、

$\frac{1.25\times 10^{-3}}{10.0/1000} = 0.125\ \mathrm{mol/L}$

答え:$0.125\ \mathrm{mol/L}$

問題8

Fe3+、Cu2+、Zn2+を含む混合水溶液に、まず少量の水酸化ナトリウム水溶液を加えて水酸化物の沈殿をすべて生じさせ、その後アンモニア水を過剰に加えた。最終的に沈殿として残るのはどのイオンの水酸化物か、理由とともに答えよ。

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Fe(OH)3、Cu(OH)2、Zn(OH)2がいったんすべて沈殿するが、過剰のアンモニア水を加えると、Cu(OH)2は$\ce{[Cu(NH3)4]^2+}$(深青色)に、Zn(OH)2は$\ce{[Zn(NH3)4]^2+}$(無色)に、それぞれアンミン錯イオンをつくって溶け出す。一方Fe(OH)3は安定なアンミン錯イオンをつくらないため、赤褐色の沈殿のまま残る。

答え:Fe(OH)3(赤褐色)が沈殿として残る。Cu2+・Zn2+は過剰のアンモニアでアンミン錯イオンとなり溶け出すが、Fe3+はアンミン錯イオンをつくらないため。