無機化学 / 非金属元素
章末問題
問題1
亜鉛に希塩酸を加えると水素が発生する。この反応の化学反応式を書き、亜鉛と水素それぞれの酸化数の変化を答えよ。
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$\ce{Zn + 2HCl -> ZnCl2 + H2}$
亜鉛の酸化数は $0 \to +2$(酸化)、水素イオンの酸化数は $+1 \to 0$(還元)に変化する。
答え:Zn + 2HCl → ZnCl2 + H2。Znは0→+2(酸化)、Hは+1→0(還元)。
問題2
塩素水に臭化カリウム水溶液を加えたときに起こる反応を化学反応式で示し、この反応が進む理由を酸化力の強さの序列から説明せよ。
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$\ce{Cl2 + 2KBr -> 2KCl + Br2}$
ハロゲン単体の酸化力は $\mathrm{Cl_2 > Br_2}$ の順であるため、酸化力の強い塩素が臭化物イオンから電子を奪って還元され塩化物イオンになり、臭化物イオンは酸化されて臭素の単体が遊離する。
答え:Cl2 + 2KBr → 2KCl + Br2。塩素は臭素より酸化力が強く、Br⁻から電子を奪って還元されるため反応が進む。
問題3
塩化物イオン、臭化物イオンを含む水溶液に硝酸銀水溶液を加えたときに生じる沈殿の色をそれぞれ答えよ。また、これらの沈殿が光を当てると分解する反応の名称(現象名)を答えよ。
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$\mathrm{AgCl}$ は白色、$\mathrm{AgBr}$ は淡黄色の沈殿を生じる。これらのハロゲン化銀は光によって銀の単体と対応するハロゲン単体に分解する性質(感光性)を持ち、写真フィルムの感光剤として利用されてきた。
答え:AgCl(白)、AgBr(淡黄)。感光性(光による分解)。
問題4
二酸化硫黄が還元剤としてはたらく反応と、酸化剤としてはたらく反応をそれぞれ1つずつ化学反応式で示せ。
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還元剤としてはたらく例:$\ce{SO2 + Br2 + 2H2O -> H2SO4 + 2HBr}$(硫黄の酸化数が $+4 \to +6$)
酸化剤としてはたらく例:$\ce{SO2 + 2H2S -> 3S + 2H2O}$(硫黄の酸化数が $+4 \to 0$)
答え:還元剤の例 SO2+Br2+2H2O→H2SO4+2HBr。酸化剤の例 SO2+2H2S→3S+2H2O。
問題5
接触法による濃硫酸の工業的製法を、3段階の反応式で示せ。
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$\ce{S + O2 -> SO2}$
$\ce{2SO2 + O2 -> 2SO3}$
(酸化バナジウム(V)を触媒とする)
$\ce{SO3 + H2O -> H2SO4}$
答え:S+O2→SO2、2SO2+O2→2SO3(V2O5触媒)、SO3+H2O→H2SO4
問題6
窒素と水素からアンモニアを合成する反応が可逆反応であることを踏まえ、ハーバー・ボッシュ法で高圧かつ触媒を用いた中程度の温度が採用されている理由を説明せよ。
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$\ce{N2 + 3H2 <=> 2NH3}$ は気体分子数が減少する発熱反応であるため、ルシャトリエの原理より高圧・低温がアンモニア生成に有利である。しかし温度を下げすぎると反応速度が低下し実用的な時間で平衡に達しなくなるため、触媒で反応速度を確保しつつ、収率と速度のバランスが取れる高圧・中程度の温度で操業する。
答え:高圧・低温は平衡の面で有利だが、低温すぎると反応速度が落ちるため、触媒を使い高圧・中温で収率と速度を両立させている。
問題7
濃硝酸に対して鉄がほとんど溶けない理由を、「不動態」という語を用いて説明せよ。
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鉄の表面が濃硝酸によってただちに酸化され、緻密で薄い酸化被膜(不動態)が生じる。この被膜が内部の鉄を保護するため、それ以上反応が進行しなくなる。
答え:鉄の表面に緻密な酸化被膜(不動態)ができ、内部が保護されて反応が進まなくなるため。
問題8
工業的に単体のケイ素を製造する反応式を書き、この反応で還元剤としてはたらく物質を答えよ。また、この反応と類似した考え方が使われている、鉄鉱石から鉄を得る反応(製鉄)の化学反応式も書け。
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ケイ素の製法:$\ce{SiO2 + 2C -> Si + 2CO}$。還元剤としてはたらくのは炭素 $\mathrm{C}$。
製鉄の反応:$\ce{Fe2O3 + 3CO -> 2Fe + 3CO2}$。こちらも一酸化炭素(炭素由来)が還元剤としてはたらいており、いずれも「酸化物から炭素(や一酸化炭素)が酸素を奪う」という共通の考え方に基づいている。
答え:SiO2+2C→Si+2CO(還元剤は炭素)。Fe2O3+3CO→2Fe+3CO2。