化学 / 溶液

頻出解法パターン

パターン1: 再結晶の析出量を求める(無水物のまま析出する場合)

こんな問題で使う

飽和溶液を冷却したときに析出する結晶の質量を求める問題で、析出する物質が水を含まない(無水物の)場合。

解法の手順

  1. 高温 $T_1$ での溶解度 $S_1$ を使い、比 $S_1:100:(100+S_1)$ から、与えられた溶液(または水)の質量から水の質量 $W$ を求める。
  2. 低温 $T_2$ での溶解度 $S_2$ を使い、その水 $W$ に溶けたまま残る溶質の質量 $\dfrac{S_2}{100}W$ を求める。
  3. もとの溶質の質量から、この残る量を引いて析出量を求める。

具体例

溶解度が $60\ \mathrm{^\circ C}$ で $110$、$20\ \mathrm{^\circ C}$ で $32$ の物質を、水 $100\ \mathrm{g}$ で $60\ \mathrm{^\circ C}$ の飽和溶液にしてから $20\ \mathrm{^\circ C}$ に冷やすと、析出量は $110-32=78\ \mathrm{g}$ となる。

パターン2: 再結晶の析出量を求める(水和物として析出する場合)

こんな問題で使う

$\ce{CuSO4\cdot5H2O}$ のように、結晶が水分子を含んだ水和物として析出する場合の析出量の計算。

解法の手順

  1. 析出する結晶の質量を未知数 $w$ とおく。
  2. 水和物の式量から、結晶 $w$ に含まれる無水物の質量の割合 $f$、水の質量の割合 $g$($f+g=1$)を求める。
  3. 冷却後に残っている「溶けたままの無水物の質量」と「残っている水の質量」を、それぞれ $w$ を使って表す。
  4. 冷却後の温度での溶解度の比(溶質:水)が成り立つという方程式を立て、$w$ について解く。

具体例

$\ce{CuSO4}$(式量160)の飽和水溶液(水200g、$60\ \mathrm{^\circ C}$、溶解度40)を $20\ \mathrm{^\circ C}$(溶解度20)まで冷やすと $\ce{CuSO4\cdot5H2O}$(式量250、無水物比0.64、水比0.36)が析出する場合、$80-0.64w=0.20(200-0.36w)$ という方程式を立てて $w$ を求める。

パターン3: ヘンリーの法則で「測る圧力」を区別する

こんな問題で使う

気体の溶解量を、標準状態換算の体積で聞かれているか、溶けたときの圧力のもとでの体積で聞かれているかを区別する問題。

解法の手順

  1. まず、標準状態換算の体積(または物質量)を、圧力比を使って求める(これは圧力に比例する)。
  2. 「その圧力のもとでの体積」を聞かれている場合は、状態方程式 $PV=nRT$($n$ は手順1で求めた物質量)を使って、あらためて体積を計算し直す。
  3. 混合気体(空気など)の場合は、まず各成分気体の分圧を求めてから、それぞれの気体について手順1・2を別々に行う。

具体例

$1.0\times10^{5}\ \mathrm{Pa}$ で $23\ \mathrm{mL}$(標準状態換算)溶ける気体を $3.0\times10^{5}\ \mathrm{Pa}$ にすると、標準状態換算の体積は $23\times3=69\ \mathrm{mL}$ になるが、その $3.0\times10^{5}\ \mathrm{Pa}$ のもとで測った体積は、ボイルの法則によりもとの $23\ \mathrm{mL}$ のまま変わらない。

パターン4: 電解質を含む希薄溶液の束一的性質を計算する

こんな問題で使う

電解質を溶かした溶液の沸点上昇・凝固点降下・浸透圧を求める問題。

解法の手順

  1. 溶質の物質量(またはモル濃度・質量モル濃度)を、電離を考えずにまず計算する。
  2. 電離後に生じる粒子の総数の倍率(完全電離なら生じるイオンの数、一部だけ電離するならファントホッフ係数 $i=1+\alpha$)を確認する。
  3. 手順1の値に、手順2の倍率をかけて、粒子換算の物質量(濃度)を求める。
  4. この粒子換算の値を、$\Delta t=Km$ や $\Pi=cRT$ などの公式に代入する。

具体例

$0.10\ \mathrm{mol/kg}$ の $\ce{CaCl2}$ 水溶液(完全電離、1式単位から3粒子)の凝固点降下度は、$\Delta t_f=K_f\times(0.10\times3)=K_f\times0.30$ として計算する。

パターン5: 浸透圧の計算では単位をそろえてから代入する

こんな問題で使う

$\Pi V=nRT$ を使って、浸透圧・物質量・モル質量のいずれかを求める問題。

解法の手順

  1. 圧力の単位($\mathrm{Pa}$ か $\mathrm{atm}$ か)を確認し、対応する気体定数 $R$ を選ぶ。
  2. 体積を $\mathrm{L}$、温度を絶対温度($\mathrm{K}$)にそろえる。
  3. $\Pi V=nRT$ に代入し、求めたい量について式を整理してから数値を計算する。
  4. モル質量を求める場合は、$n=\dfrac{\Pi V}{RT}$ で物質量を求めてから、$M=\dfrac{質量}{n}$ を計算する。

具体例

$27\ \mathrm{^\circ C}$($300\ \mathrm{K}$)、体積 $250\ \mathrm{mL}$($0.250\ \mathrm{L}$)、浸透圧 $1.0\times10^{3}\ \mathrm{Pa}$ のとき、$R=8.3\times10^{3}\ \mathrm{Pa\cdot L/(mol\cdot K)}$ を使って $n=\dfrac{1.0\times10^{3}\times0.250}{8.3\times10^{3}\times300}$ と計算する。

パターン6: 凝析・塩析に必要な電解質の量からコロイドの種類を見分ける

こんな問題で使う

あるコロイドが疎水コロイドか親水コロイドかを、電解質を加えたときの挙動から判断する問題。

解法の手順

  1. 少量の電解質で沈殿するか、多量の電解質が必要かを確認する。
  2. 少量で沈殿する場合は疎水コロイド(凝析)、多量必要な場合は親水コロイド(塩析)と判断する。
  3. 疎水コロイドの凝析については、加える電解質の、コロイド粒子と反対符号のイオンの価数が大きいほど、少量で効果があることも確認する。

具体例

正に帯電した $\ce{Fe(OH)3}$ ゾル(疎水コロイド)に $\ce{NaCl}$、$\ce{Na2SO4}$、$\ce{Na3PO4}$ を加えるとき、陰イオンの価数が最も大きい $\ce{PO4^3-}$ を含む $\ce{Na3PO4}$ が、最も少ない量で凝析を起こす。