化学基礎 / 物質量と化学反応式
頻出解法パターン
パターン1: 分子量・式量を求める手順
こんな問題で使う
化学式(分子式・組成式)と原子量が与えられ、分子量や式量を求める問題。
解法の手順
- 化学式に含まれる元素の種類と、それぞれの原子の個数を数える(カッコがある場合は、カッコの外の数字をカッコ内のすべての原子の個数に掛ける)。
- それぞれの原子量に、その原子の個数を掛ける。
- すべての元素について計算した値を合計する。
具体例
硫酸アンモニウム $\ce{(NH4)2SO4}$(N=14, H=1.0, S=32, O=16)は、Nが2個、Hが8個、Sが1個、Oが4個含まれるので、式量は $14\times2+1.0\times8+32\times1+16\times4=132$ となる。
パターン2: 「粒子の数・質量・気体の体積」を物質量(mol)経由で変換する手順
こんな問題で使う
粒子の数、質量、標準状態の気体の体積のうち、どれか1つが与えられて、他の量を求める問題。
解法の手順
- 与えられている量が、粒子の数($N$)・質量($w$)・気体の体積($V$、標準状態)のどれかを確認する。
- それぞれに対応する式($n=\frac{N}{N_A}$、$n=\frac{w}{M}$、$n=\frac{V}{22.4}$)を使って、いったん物質量 $n$[mol]に変換する。
- 求めたい量に対応する式を、今度は逆向きに使って($N=nN_A$、$w=nM$、$V=22.4n$)、答えを求める。
具体例
酸素(分子量32)$8.0\,\mathrm{g}$ の標準状態での体積を求めるには、まず $n=\dfrac{8.0}{32}=0.25\,\mathrm{mol}$ を求め、次に $V=0.25\times22.4=5.6\,\mathrm{L}$ とする。
パターン3: 質量パーセント濃度・モル濃度を求める手順
こんな問題で使う
溶質・溶媒・溶液の質量や体積が与えられて、濃度を求める問題。
解法の手順
- 求める濃度が質量パーセント濃度かモル濃度かを確認する。
- 質量パーセント濃度なら、溶質の質量と、溶液全体の質量(溶質+溶媒)をそれぞれ求め、$\dfrac{\text{溶質の質量}}{\text{溶液の質量}}\times100$ を計算する。
- モル濃度なら、溶質の物質量 $n$ と、溶液全体の体積 $V$(L)をそれぞれ求め、$c=\dfrac{n}{V}$ を計算する。
具体例
水酸化ナトリウム(式量40)4.0gを溶かして溶液全体を250mLにした場合、$n=\dfrac{4.0}{40}=0.10\,\mathrm{mol}$、$V=0.250\,\mathrm{L}$ より、$c=\dfrac{0.10}{0.250}=0.40\,\mathrm{mol/L}$。
パターン4: 質量パーセント濃度とモル濃度を、密度を使って変換する手順
こんな問題で使う
密度と質量パーセント濃度が与えられて、モル濃度を求める問題(またはその逆)。
解法の手順
- 溶液をちょうど1L(=1000mL)取り出したと仮定する。
- 密度を使って、この溶液1000mLの質量($1000\times d$)を求める。
- 質量パーセント濃度を使って、その中に含まれる溶質の質量($1000d\times\frac{p}{100}$)を求める。
- 溶質のモル質量で割って、溶質の物質量を求める。これがそのまま溶液1Lあたりの物質量、すなわちモル濃度になる。
具体例
質量パーセント濃度49%、密度1.20g/mLの硫酸(分子量98)は、溶液1000mLの質量が1200g、溶質の質量が $1200\times0.49=588\,\mathrm{g}$、物質量が $\dfrac{588}{98}=6.0\,\mathrm{mol}$ となり、モル濃度は6.0mol/Lとなる。
パターン5: 化学反応式の係数をつり合わせる手順
こんな問題で使う
未完成の化学反応式(係数が入っていない、または一部だけの式)を完成させる問題。
解法の手順
- 反応物・生成物の化学式をすべて書き出す。
- 化学式の中に何度も登場しやすい原子から順に、C→H→O の順で係数をそろえていく。
- 分数の係数が出たら、式全体を整数倍して分数を消す。
- 最後に、すべての原子について両辺の個数が一致しているかを確認する。
具体例
$\ce{C2H5OH + O2 -> CO2 + H2O}$ は、Cを合わせて $\ce{CO2}$ の係数を2、Hを合わせて $\ce{H2O}$ の係数を3にし、最後にOを合わせて $\ce{O2}$ の係数を3にすると、$\ce{C2H5OH + 3O2 -> 2CO2 + 3H2O}$ が得られる。
パターン6: 化学反応式の量的関係・過不足問題を解く手順
こんな問題で使う
化学反応式が与えられ、反応する(生成する)物質の質量・物質量・体積を求める問題。特に、2つの反応物の量がどちらも与えられている過不足の問題。
解法の手順
- 与えられているすべての物質の量(質量・体積など)を、それぞれ物質量(mol)に変換する。
- 反応物が2つとも与えられている場合は、それぞれの物質量を係数で割った値を比較し、値が小さい方を限定反応物と判定する。
- 限定反応物の物質量を基準にして、係数の比を使い、求めたい物質(生成物、または余る反応物)の物質量を計算する。
- 求めた物質量を、必要に応じて質量や気体の体積に変換し直す。
具体例
$\ce{N2 + 3H2 -> 2NH3}$ で $\ce{N2}$ 1.0mol、$\ce{H2}$ 2.0molを反応させる場合、$\frac{1.0}{1}=1.0$、$\frac{2.0}{3}\approx0.67$ を比較して $\ce{H2}$ が限定反応物と判定し、これを基準に $n_{\ce{NH3}}=2.0\times\frac{2}{3}\approx1.3\,\mathrm{mol}$ と求める。