無機化学
用語集
- アルカリ金属
- 周期表1族のうち水素を除くLi, Na, K, Rb, Cs, Frの総称。最外殻電子を1個持ち、これを1個失って安定な陽イオンになりやすいため反応性がきわめて高い。 (アルカリ金属)
- アルカリ土類金属
- 高校化学では、周期表2族のうちBeとMgを除いたCa, Sr, Ba, Raの4元素を指す。BeやMgとは異なり常温で水と反応し、炎色反応を示すという共通の性質を持つ。 (アルカリ土類金属)
- アンモニアソーダ法(ソルベー法)
- 塩化ナトリウムと石灰石を主原料に、アンモニアを利用して炭酸ナトリウムを工業的に製造する方法。反応の途中で使われるアンモニアは最終的に回収・再利用される。 (アルカリ金属)
- オストワルト法
- アンモニアを白金触媒で酸化して一酸化窒素とし、これをさらに酸化・水と反応させることで硝酸を得る工業的製法。 (窒素・リンとその化合物)
- テルミット反応
- アルミニウムの粉末と酸化鉄(III)の粉末を混ぜて点火すると、アルミニウムが酸素を奪って酸化アルミニウムになり、同時に多量の熱とともに鉄の単体が得られる反応。レールの溶接などに利用される。 (アルミニウムとその化合物)
- ハーバー・ボッシュ法
- 窒素と水素から、鉄を主成分とする触媒を用いてアンモニアを合成する工業的製法。可逆反応であるため、高圧・適度な温度という平衡の移動を考慮した条件で操業される。 (窒素・リンとその化合物)
- ハロゲン
- 周期表17族に属するF, Cl, Br, Iなどの総称。最外殻電子を7個持ち、電子を1個受け取って貴ガス型の安定な電子配置になろうとする性質が強く、酸化力の強い非金属元素である。 (ハロゲンとその化合物)
- ハロゲン化銀
- 銀イオンとハロゲン化物イオンが反応してできる沈殿。AgF以外は水に溶けにくく、AgCl(白)、AgBr(淡黄)、AgI(黄)と特有の色を持ち、光によって分解する感光性がある。 (ハロゲンとその化合物)
- 亜鉛族(Zn, Sn, Pb)
- 周期表12族の亜鉛と、14族のスズ・鉛をまとめて扱う便宜的な分類。いずれも両性を示す(亜鉛は金属自体が両性、スズ・鉛はやや弱いながらも両性的な性質を持つ)。 (亜鉛・スズ・鉛)
- 一時硬水・永久硬水
- 炭酸水素カルシウムなどが原因の硬水は、煮沸すると炭酸カルシウムの沈殿として除去できるため一時硬水と呼ばれる。硫酸カルシウムなどが原因の硬水は煮沸しても軟化しないため永久硬水と呼ばれる。 (アルカリ土類金属)
- 炎色反応
- 金属や金属イオンを炎の中に入れると、元素ごとに決まった色の光を発する現象。電子が熱エネルギーで高いエネルギー準位に上がり、もとに戻るときに特定の波長の光を放出するために起こる。 (アルカリ金属)
- 炎色反応
- アルカリ金属・アルカリ土類金属などのイオンを含む物質を炎の中に入れると、金属の種類によって特有の色を示す現象。Na黄色、K赤紫色、Ca橙赤色、Ba黄緑色、Cu青緑色などが代表例。 (陽イオンの分離と検出)
- 乾燥剤
- 気体に含まれる水蒸気を取り除くための物質。気体自身と反応してしまう乾燥剤は使えないため、乾燥させたい気体が酸性・塩基性・中性のどれかに応じて、酸性・塩基性・中性の乾燥剤を使い分ける。 (気体の発生と性質のまとめ)
- 感光性
- 光を受けると化学変化を起こす性質のこと。ハロゲン化銀(特にAgBrやAgCl)は光によって銀イオンが還元され、銀の微粒子(黒色)を生じる。写真フィルムの原理として利用されてきた。 (銀とその化合物)
- 貴ガス(希ガス)
- 周期表18族に属するHe, Ne, Ar, Kr, Xe, Rnの総称。最外殻電子配置が閉殻(He以外はオクテット則を満たす8個)になっており、非常に安定なため、単原子分子として存在し、他の原子と反応しにくい。 (水素と貴ガス)
- 犠牲防食
- イオン化傾向がより大きい金属を鉄などの表面にめっきし、傷がついても先にその金属が酸化されることで、内部の鉄を守る防食方法。トタン(亜鉛めっき鋼板)が代表例。 (亜鉛・スズ・鉛)
- 共有結合結晶
- 非常に多数の原子が共有結合だけで規則正しく結びついてできた結晶。ダイヤモンドやケイ素、二酸化ケイ素が代表例で、融点が非常に高く硬いという特徴を持つ。 (炭素・ケイ素とその化合物)
- 強酸が弱酸を追い出す反応
- 弱酸の塩に、より強い酸を加えると、弱酸が遊離する反応。炭酸塩に塩酸を加えると不安定な炭酸が生じ、ただちに二酸化炭素と水に分解する反応が代表例。 (陰イオンの検出)
- 銀鏡反応
- アルデヒド基を持つ化合物が、アンモニア性硝酸銀水溶液(トレンス試薬、[Ag(NH3)2]+を含む)中の銀イオンを還元して銀を析出させる反応。析出した銀が容器の内壁に鏡のように付着することからこの名がある。 (銀とその化合物)
- 系統分析(定性分析)
- 複数の金属イオンが混ざった水溶液から、試薬を順番に加えて特定のイオンだけを段階的に沈殿させ、混合物に含まれるイオンの種類を特定していく分析方法。 (陽イオンの分離と検出)
- 硬水・軟水
- カルシウムイオンやマグネシウムイオンを多く含む水を硬水、ほとんど含まない水を軟水という。硬水は石けんの泡立ちが悪く、加熱すると配管に炭酸カルシウムの scale(スケール)が付着することがある。 (アルカリ土類金属)
- 酸化還元滴定
- 濃度既知の酸化剤(または還元剤)水溶液を、濃度未知の還元剤(または酸化剤)水溶液に少しずつ加え、過不足なく反応しきったところ(終点)から、未知の濃度を求める操作。 (クロム・マンガン)
- 酸化力
- 相手から電子を奪う(酸化する)力の強さ。ハロゲン単体では原子番号が小さいほど強く、$\mathrm{F_2 > Cl_2 > Br_2 > I_2}$ の順になる。 (ハロゲンとその化合物)
- 酸化力のある酸
- 水素イオンH+の酸としての働きだけでなく、酸の陰イオン(NO3−やSO4のように)自体が酸化剤としてはたらく酸のこと。希硝酸・濃硝酸・熱濃硫酸が代表例で、イオン化傾向が水素より小さい銅や銀もこれらの酸には溶ける。 (銅とその化合物)
- 自己指示薬
- 反応物または生成物自身が色を持つために、別の指示薬を使わなくても反応の終点(色の変化)がわかる物質のこと。KMnO4は自身が濃い赤紫色で、還元されると無色に近いMn2+になるため、自己指示薬として働く。 (クロム・マンガン)
- 上方置換法・下方置換法
- 空気と置き換えて気体を集める方法。水によく溶ける気体でしか使えない。空気より軽い気体は容器の口を下に向ける上方置換、空気より重い気体は容器の口を上に向ける下方置換で集める。 (気体の発生と性質のまとめ)
- 水ガラス
- ケイ酸ナトリウム$\mathrm{Na_2SiO_3}$に水を加えて加熱して得られる、粘性の大きい無色の液体。酸を加えるとケイ酸の白色ゲル状沈殿を生じ、これを乾燥させるとシリカゲルになる。 (炭素・ケイ素とその化合物)
- 水上置換
- 水に溶けにくい気体を集めるときに使う方法。水を満たした容器の中に気体を導き、水を押しのけながら気体を集める。水素は水にほとんど溶けないため、この方法で捕集する。 (水素と貴ガス)
- 水上置換法
- 水と置き換えて気体を集める方法。水に溶けにくい、または少ししか溶けない気体の捕集に用いる。捕集した気体の純度が高いという利点がある。 (気体の発生と性質のまとめ)
- 石灰水
- 水酸化カルシウムの飽和水溶液。二酸化炭素を通じると、水に溶けにくい炭酸カルシウムの白色沈殿を生じて白く濁る(白濁する)。二酸化炭素の検出に使われる。 (陰イオンの検出)
- 接触法
- 硫酸の工業的製法。硫黄を燃焼させて二酸化硫黄とし、酸化バナジウム(V)を触媒として三酸化硫黄に酸化したのち、水(濃硫酸)に吸収させて濃硫酸を得る方法。 (酸素・硫黄とその化合物)
- 遷移元素
- 周期表で3~11族(または3~12族)に属する元素の総称。典型元素と異なり、多くが複数の安定な酸化数をとり、色のついたイオンや化合物をつくりやすいという共通の性質を持つ。 (鉄とその化合物)
- 銑鉄・鋼
- 銑鉄は溶鉱炉でつくられる炭素含有量の多い(約4%)鉄で、硬いがもろい。銑鉄を転炉で酸素を吹き込んで炭素量を減らした(約0.02~2%)ものが鋼で、粘り強く加工しやすい。 (鉄とその化合物)
- 粗銅・電解精錬
- 黄銅鉱などの銅鉱石を溶鉱炉・転炉で処理して得られる純度約99%の銅を粗銅という。粗銅を陽極、純銅を陰極として硫酸銅(II)水溶液を電気分解すると、陰極に純度99.99%の純銅が得られる。この操作を電解精錬という。 (銅とその化合物)
- 同素体
- 同じ元素からなる単体で、原子の配列や結合の仕方が異なるために性質が異なるもの。硫黄の斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄、酸素のO2とO3(オゾン)などが代表例。 (酸素・硫黄とその化合物)
- 配位結合
- 結合をつくる2個の電子が、両方とも一方の原子(分子・イオン)だけから提供される共有結合のこと。NH3の窒素原子が持つ非共有電子対を金属イオンに提供することでできる結合が代表例。 (錯イオン)
- 配位子
- 錯イオンにおいて、中心の金属イオンに非共有電子対を提供して配位結合をつくる分子やイオンのこと。NH3(アンミン)、H2O(アクア)、CN−(シアニド)、OH−(ヒドロキシド)、Cl−(クロリド)などがある。 (錯イオン)
- 配位数
- 錯イオンにおいて、中心の金属イオン1個に配位結合している配位子の数のこと。中心金属イオンの種類によってほぼ決まっており、Ag+は2、Cu2+やZn2+は4、Fe2+やFe3+は6であることが多い。 (錯イオン)
- 不揮発性
- 蒸発しにくい性質。濃硫酸は不揮発性の酸であり、この性質を利用して塩化ナトリウムなどの塩から揮発性の酸(塩化水素など)を追い出すことができる。 (酸素・硫黄とその化合物)
- 不動態
- 鉄・アルミニウム・ニッケルなどが濃硝酸(冷たいもの)に対して、表面にごく薄く緻密な酸化被膜を形成し、内部が保護されてそれ以上反応が進まなくなる状態。 (窒素・リンとその化合物)
- 不動態
- 金属の表面に緻密な酸化物の膜ができて、内部が酸に侵されなくなった状態のこと。鉄・アルミニウム・ニッケル・クロムなどが、濃硝酸や冷たい濃硫酸に対して不動態となる。 (鉄とその化合物)
- 複塩
- 2種類以上の塩が組み合わさってできた結晶で、水に溶かすと元のそれぞれのイオンに完全に電離する塩。ミョウバンAlK(SO4)2・12H2Oが代表例で、水溶液中ではAl³⁺、K⁺、SO4²⁻に電離する。 (アルミニウムとその化合物)
- 閉殻構造
- 電子殻に電子が満杯まで収容された状態。エネルギー的に極めて安定なため、貴ガスはイオン化エネルギーが非常に大きく、電子親和力はほぼ0(陰イオンになりにくい)という特徴を持つ。 (水素と貴ガス)
- 陽極泥
- 電解精錬で、粗銅中に含まれる銀・金・白金などイオン化傾向が銅より小さい(貴な)金属は、陽極で溶けずに沈殿として陽極の下にたまる。これを陽極泥といい、貴金属の回収源になる。 (銅とその化合物)
- 硫化物イオン濃度と液性の関係
- 硫化水素H2Sは弱酸なので、H2S <=> H+ + HS-、HS- <=> H+ + S2-という2段階の電離平衡を持つ。酸性条件(H+が多い)では平衡が左に寄りS2-濃度が非常に低くなり、中性・塩基性条件ではS2-濃度が高くなる。この濃度差によって、沈殿する硫化物の種類が変わる。 (陽イオンの分離と検出)
- 両性金属(両性元素)
- 酸とも強塩基の水溶液とも反応して水素を発生させる金属。Al, Zn, Sn, Pbが代表例(「あある亜鉛すん(あ・あ・あ・すん)」などの語呂合わせで覚えられることが多い)。 (アルミニウムとその化合物)