有機化学
用語集
- アセチルサリチル酸(アスピリン)
- サリチル酸のヒドロキシ基を無水酢酸でアセチル化して得られる化合物。解熱鎮痛剤として利用される。 (芳香族カルボン酸)
- アセチレン(エチン)
- もっとも簡単なアルキン $\ce{CH#CH}$。炭化カルシウムに水を加えることで得られ、燃焼熱が大きく高温を出せるため溶接に、また多くの合成化学製品の出発原料として使われる。 (アルキン)
- アニリン
- $\ce{C6H5-NH2}$。ベンゼン環にアミノ基が直接結合した、最も基本的な芳香族アミン。 (芳香族アミン(アニリン))
- アニリンブラック
- アニリンを酸化して得られる黒色の染料・顔料。繊維の染色などに利用される。 (芳香族アミン(アニリン))
- アミド
- カルボン酸とアミン(またはアンモニア)が縮合してできる、アミド結合 $\ce{-CO-NH-}$ を持つ化合物。 (アミンとアミド)
- アミド結合
- カルボニル基の炭素と、窒素原子が直接結合した構造 $\ce{-CO-NH-}$。タンパク質を構成するペプチド結合も、このアミド結合の一種である。 (アミンとアミド)
- アミン
- アンモニア $\ce{NH3}$ の水素原子を炭化水素基で置き換えた構造を持つ化合物。窒素原子の非共有電子対によって塩基性を示す。 (アミンとアミド)
- アルカン
- 炭素原子間の結合がすべて単結合である、鎖式の飽和炭化水素。一般式 $\mathrm{C_nH_{2n+2}}$ で表される。 (アルカン)
- アルキン
- 炭素原子間に三重結合を1個持つ、鎖式の不飽和炭化水素。一般式 $\mathrm{C_nH_{2n-2}}$ で表される。 (アルキン)
- アルケン
- 炭素原子間に二重結合を1個持つ、鎖式の不飽和炭化水素。一般式 $\mathrm{C_nH_{2n}}$ で表される。 (アルケン)
- アルコール
- 鎖式炭化水素の水素原子がヒドロキシ基 $\ce{-OH}$ に置き換わった化合物。 (アルコールとエーテル)
- アルデヒド
- アルデヒド基 $\ce{-CHO}$ を持つ化合物。第一級アルコールを酸化すると生じる。還元性を持ち、銀鏡反応・フェーリング液の還元を示す。 (アルデヒドとケトン)
- エーテル
- 2つの炭化水素基が酸素原子1個(エーテル結合 $\ce{-O-}$)で結びついた化合物。 (アルコールとエーテル)
- エステル化
- カルボン酸とアルコールから水がとれてエステルが生じる反応。酸を触媒として可逆的に進む。 (エステルと油脂)
- カルボキシ基
- $\ce{-COOH}$ で表される官能基。ヒドロキシ基とカルボニル基が同じ炭素に結合した構造を持つ。 (カルボン酸)
- カルボン酸
- カルボキシ基 $\ce{-COOH}$ を持つ化合物。水溶液中でわずかに電離して弱い酸性を示す。 (カルボン酸)
- キサントプロテイン反応
- ベンゼン環をもつアミノ酸(芳香族アミノ酸)を含むタンパク質に濃硝酸を加えて加熱すると黄色に呈色し、さらにアンモニア水を加えると橙黄色になる反応。 (アミノ酸とタンパク質)
- ケトン
- カルボニル基(ケトン基)$\ce{>C=O}$ が炭素鎖の中間にある化合物。第二級アルコールを酸化すると生じる。還元性を持たない。 (アルデヒドとケトン)
- けん化
- エステルに強塩基(水酸化ナトリウムなど)を加えて加水分解する反応。カルボン酸の塩とアルコールが生じ、逆反応が起こりにくいため不可逆的に進む。 (エステルと油脂)
- けん化価
- 油脂1gをけん化するのに必要な水酸化カリウムのmg数。値が大きいほど、油脂を構成する脂肪酸の平均分子量が小さい。 (エステルと油脂)
- サリチル酸
- $\ce{C6H4(OH)(COOH)}$。ベンゼン環にヒドロキシ基とカルボキシ基が隣り合って結合した化合物で、フェノール類とカルボン酸の両方の性質を示す。 (芳香族カルボン酸)
- サリチル酸メチル
- サリチル酸のカルボキシ基をメタノールでエステル化して得られる化合物。芳香をもち、湿布薬などに利用される。 (芳香族カルボン酸)
- シクロアルカン
- 単結合だけでできた環状構造を持つ飽和の脂環式炭化水素。一般式 $\mathrm{C_nH_{2n}}$ で表される。 (脂環式炭化水素)
- シクロアルケン
- 環の中に二重結合を1個持つ不飽和の脂環式炭化水素。一般式 $\mathrm{C_nH_{2n-2}}$ で表される。 (脂環式炭化水素)
- ヌクレオチド
- 糖・塩基・リン酸の3つが結合した、核酸を構成する基本単位。 (核酸)
- ビウレット反応
- 2個以上のペプチド結合をもつ化合物(トリペプチド以上)に、水酸化ナトリウム水溶液と少量の硫酸銅(II)水溶液を加えると赤紫色に呈色する反応。 (アミノ酸とタンパク質)
- フェーリング液の還元
- アルデヒドが持つ還元性を利用した検出反応。フェーリング液(青色、Cu(II)を含む)にアルデヒドを加えて加熱すると、Cu(II)が還元されて酸化銅(I)の赤色沈殿が生じる。 (アルデヒドとケトン)
- フェノール類
- ベンゼン環の炭素原子に直接ヒドロキシ基($\ce{-OH}$)が結合した化合物の総称。例:フェノール $\ce{C6H5-OH}$、クレゾール、ナフトール。 (フェノール類)
- ペプチド結合
- 一方のアミノ酸のカルボキシ基と、他方のアミノ酸のアミノ基から水1分子がとれて縮合してできる、$\ce{-CO-NH-}$ の形をした結合。 (アミノ酸とタンパク質)
- ベンゼン環
- $\ce{C6H6}$ で表される、6個の炭素原子が正六角形に結合した環状構造。芳香族化合物の基本骨格となる。 (ベンゼンの構造と性質)
- ヨウ素デンプン反応
- デンプンにヨウ素ヨウ化カリウム水溶液を加えると青紫色に呈色する反応。デンプンのらせん構造の中にヨウ素分子が取り込まれることで起こる。 (天然高分子(糖類))
- ヨウ素価
- 油脂100gに付加できるヨウ素のg数。値が大きいほど、油脂を構成する脂肪酸の不飽和度(二重結合の数)が高い。 (エステルと油脂)
- ヨードホルム反応
- $\ce{CH3-CO-}$(メチルケトン)構造や $\ce{CH3-CH(OH)-}$ 構造をもつ化合物に、ヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を作用させると、特有の臭気をもつ黄色沈殿(ヨードホルム $\ce{CHI3}$)を生じる反応。 (構造決定の考え方)
- 安息香酸
- $\ce{C6H5-COOH}$。ベンゼン環にカルボキシ基が直接結合した、最も単純な芳香族カルボン酸。トルエンの酸化によって得られる。 (芳香族カルボン酸)
- 塩化鉄(III)による呈色反応
- フェノール類の水溶液に塩化鉄(III) $\ce{FeCl3}$ 水溶液を加えると、青紫〜赤紫色に呈色する反応。フェノール性ヒドロキシ基を検出する代表的な方法。 (フェノール類)
- 加硫
- 生ゴムに硫黄を加えて加熱し、ポリイソプレン鎖どうしを硫黄原子で架橋する処理。ゴムの弾性・強度・耐久性を高める。 (ゴム)
- 核酸
- ヌクレオチドが多数つながった高分子化合物。遺伝情報を保存・伝達するDNAと、その発現にかかわるRNAがある。 (核酸)
- 官能基
- 有機化合物の性質を決める特徴的な原子団。同じ官能基を持つ化合物は、共通する化学的性質を示すことが多い。 (有機化合物の分類と特徴)
- 環式化合物
- 炭素原子が輪(環)状につながった部分を持つ化合物。ベンゼン環を持つ芳香族化合物と、それ以外の脂環式化合物に分けられる。 (有機化合物の分類と特徴)
- 還元性
- 銀鏡反応やフェーリング液の還元のように、相手を還元する性質。糖類では、開環してホルミル基(アルデヒド構造)が現れる部分(還元性を示す端)が残っているかどうかで決まる。 (天然高分子(糖類))
- 幾何異性体(シス・トランス異性体)
- 二重結合を軸として、同じ側に原子団があるか反対側にあるかで区別される立体異性体。二重結合の両方の炭素に、それぞれ異なる2種類の原子(団)が結合しているときに存在しうる。 (アルケン)
- 共鳴
- 実際の分子の構造が、複数の考えられる構造式(共鳴構造)の中間的な状態として表される、という考え方。ベンゼン環では単結合と二重結合が交互に並んだ構造を2通り書けるが、実際の分子はそのどちらでもなく、電子が環全体に均等に広がった単一の構造をもつ。 (ベンゼンの構造と性質)
- 銀鏡反応
- アルデヒドが持つ還元性を利用した検出反応。アンモニア性硝酸銀水溶液(トレンス試薬)にアルデヒドを加えて温めると、銀が還元されて析出し、容器の内側に鏡のような銀の膜ができる。 (アルデヒドとケトン)
- 繰り返し単位
- 高分子の構造式の中で、同じパターンが繰り返されている最小の単位。 (合成高分子(ナイロン・ポリエチレン等))
- 元素分析
- 有機化合物を完全燃焼させ、生じる二酸化炭素と水の質量から、化合物を構成する各元素の質量の割合を求める実験。 (元素分析と分子式の決定)
- 構造異性体
- 分子式は同じだが、原子のつながり方(構造)が異なるために別の物質になっているもの。 (有機化合物の分類と特徴)
- 合成ゴム
- 石油などから得られるジエン系の単量体を付加重合(共重合)してつくる、人工的なゴム。ブタジエンゴム・スチレンブタジエンゴム・クロロプレンゴムなど。 (ゴム)
- 鎖式化合物
- 炭素原子が枝分かれはあっても輪(環)を作らず、鎖のようにつながっている化合物。脂肪族化合物とも呼ばれる。 (有機化合物の分類と特徴)
- 脂環式炭化水素
- 炭素原子が環状に結合した炭化水素のうち、ベンゼン環を持たないもの。シクロアルカン・シクロアルケンなどがある。 (脂環式炭化水素)
- 弱酸
- 水溶液中でわずかにしか電離しない酸。フェノールは水に溶けてわずかに電離し、酸性を示すが、その強さは炭酸よりも弱い。 (フェノール類)
- 主鎖
- 分子中でもっとも長く連続した炭素鎖。アルカンの名前のもとになる部分。 (アルカン)
- 縮合重合
- 2つの官能基をもつ単量体どうしが、縮合反応(水などの小さな分子がとれる反応)を繰り返して高分子になる重合。 (合成高分子(ナイロン・ポリエチレン等))
- 酢酸
- もっとも代表的なカルボン酸 $\ce{CH3COOH}$。食酢の主成分で、弱酸性を示す。 (カルボン酸)
- 組成式(実験式)
- 元素分析で求めた各元素の物質量の比を、最も簡単な整数比で表した化学式。 (元素分析と分子式の決定)
- 双性イオン
- 同一分子内に正電荷と負電荷を両方もつイオン。アミノ酸は中性付近の水溶液中で、$\ce{-NH3+}$ と $\ce{-COO-}$ をあわせもつ双性イオンとして存在することが多い。 (アミノ酸とタンパク質)
- 相補的塩基対
- DNAの二重らせん構造の中で、アデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)が、それぞれ水素結合によって特異的に対をつくること。 (核酸)
- 多糖類
- 非常に多数の単糖が縮合重合してできた高分子化合物。デンプン・セルロースなど、$(\ce{C6H10O5})_n$ で表される。 (天然高分子(糖類))
- 第一級アルコール
- ヒドロキシ基が結合した炭素原子に、他の炭素原子が0個または1個結合しているアルコール。例:メタノール、エタノール。 (アルコールとエーテル)
- 第三級アルコール
- ヒドロキシ基が結合した炭素原子に、他の炭素原子が3個結合しているアルコール。例:2-メチル-2-プロパノール。 (アルコールとエーテル)
- 第二級アルコール
- ヒドロキシ基が結合した炭素原子に、他の炭素原子が2個結合しているアルコール。例:2-プロパノール。 (アルコールとエーテル)
- 単糖類
- それ以上加水分解されない、糖類の最小単位。グルコース・フルクトースなど、分子式 $\ce{C6H12O6}$ で表されるものが代表的。 (天然高分子(糖類))
- 単量体(モノマー)
- 重合して高分子(ポリマー)をつくる、もとになる小さな分子。 (合成高分子(ナイロン・ポリエチレン等))
- 置換基
- 主鎖から枝分かれして結合している原子団。メチル基$\ce{-CH3}$、エチル基$\ce{-C2H5}$など。 (アルカン)
- 置換反応
- 分子中の原子(団)が、他の原子(団)に置き換わる反応。アルカンに光を当てながら塩素などのハロゲンを反応させると起こる。 (アルカン)
- 置換反応
- 分子中の原子(団)が、他の原子(団)に置き換わる反応。ベンゼン環はこの反応を起こしやすい。 (ベンゼンの構造と性質)
- 中性物質
- 酸とも塩基とも反応しない有機化合物。酸・塩基水溶液で処理しても水層に移らず、エーテル層に残る。 (有機化合物の分離(酸塩基抽出))
- 抽出
- 混合物から、目的の物質を、その物質だけをよく溶かす溶媒に溶かし出して分離する操作。 (有機化合物の分離(酸塩基抽出))
- 天然ゴム
- ゴムノキの樹液(ラテックス)から得られる、イソプレンがシス型に付加重合した構造(ポリイソプレン)をもつ弾性体。 (ゴム)
- 等電点
- アミノ酸分子全体の電荷が正味0になるpH。このpHでは、アミノ酸は電場をかけても、陽極・陰極のどちらにも移動しない。 (アミノ酸とタンパク質)
- 二重らせん構造
- DNAがもつ、2本のヌクレオチド鎖が互いに巻き付き合ったらせん状の立体構造。ワトソンとクリックによって提唱された。 (核酸)
- 二糖類
- 単糖2分子が縮合してできた糖。スクロース・マルトースなど、分子式 $\ce{C12H22O11}$ で表される。 (天然高分子(糖類))
- 非局在化
- 電子が特定の2原子間だけにとどまらず、複数の原子にまたがって分布すること。ベンゼン環では、二重結合をつくる $\pi$ 電子が6個の炭素原子全体に広がっている。 (ベンゼンの構造と性質)
- 不斉炭素原子
- 4つの異なる原子または原子団が結合している炭素原子。この炭素原子があると、鏡像異性体が存在しうる。 (有機化合物の分類と特徴)
- 不飽和度
- 分子中の環と多重結合の合計数を表す値。飽和の鎖式化合物(環も多重結合もない)を基準に、水素が何個分不足しているかを表す。 (構造決定の考え方)
- 付加重合
- 炭素間二重結合をもつ単量体(モノマー)が、次々と付加反応を繰り返して高分子(ポリマー)になる重合。小さな分子は副生しない。 (合成高分子(ナイロン・ポリエチレン等))
- 付加反応
- 二重結合や三重結合の部分に、他の原子(団)が直接結びつく反応。結合していた不飽和結合の一部が切れて単結合になる。 (アルケン)
- 分液操作
- 互いに混じり合わない2種類の液体(例:ジエチルエーテルと水)を分液漏斗に入れて振り混ぜ、静置して2層に分けたのち、それぞれの層を分けて取り出す操作。 (有機化合物の分離(酸塩基抽出))
- 分子式
- 分子を構成する原子の種類と実際の数を表す化学式。組成式の整数倍になっている。 (元素分析と分子式の決定)
- 芳香族アミン
- ベンゼン環にアミノ基($\ce{-NH2}$)が結合した化合物の総称。 (芳香族アミン(アニリン))
- 芳香族化合物
- ベンゼン環を分子内にもつ有機化合物の総称。 (ベンゼンの構造と性質)
- 油脂
- グリセリン(1分子)と高級脂肪酸(3分子)がエステル結合した化合物(トリグリセリド)。 (エステルと油脂)
- 有機化合物
- 炭素原子を骨格に持つ化合物の総称。ただしCO2、CO、炭酸塩などの一部の単純な炭素化合物は例外として無機化合物に分類される。 (有機化合物の分類と特徴)
- 立体異性体
- 原子のつながり方(構造式)は同じだが、原子の空間的な配置が異なるために別の物質になっているもの。幾何異性体と鏡像異性体がある。 (有機化合物の分類と特徴)
- 両性電解質
- 酸としても塩基としてもはたらくことができる電解質。アミノ酸は、酸性の $\ce{-COOH}$ と塩基性の $\ce{-NH2}$ の両方をもつため両性電解質である。 (アミノ酸とタンパク質)